飲食店Public Relations講座 ウイットとユーモアで店を育てる「論語と算盤」商人道

感染症対策にもウイットとユーモアを

店内の感染症対策はお済みですか?
飛沫防止シートやアクリル板が室内を殺風景にしているなら、シートにイラストやメッセージを描きましょう。

ウイットで楽しませる

新型コロナ対策を「笑顔」で乗り切ります。
従業員、お客様から一つでも多くの「笑顔」が生まれる対策を実施しましょう。

飛沫防止のビニールシートやアクリル板にメッセージやイラストを描けばPOPなアートになります。
店頭でお客様も巻き込んでシートにメッセージを描き込むパフォーマンスイベントをやるのも楽しい。

イラストが得意じゃない方には、アクションペイントをおすすめします。
飛沫防止シートがアートになって、お子さまたちも大喜びのイベントになります。

ackson Pollock アクションペイント

ユーモアで笑わせる

大声でにぎやかなお客さまには、面白「イエローカード」を渡して、くすっとさせましょう。

入店時にイエローカードがあることを予告します。
「イエローカードが出ると退場お願いすることもありますのでよろしくお願いします」と協力に同意していただきます。

大声大笑いしているグループが出現。
審判のコスチュームを身にまとった店長がホイッスルを吹いてイエローカードを渡します。
審判登場でさらに盛り上がっちゃうかもしれません。
サッカーボールまで手にしてなりきりましょう。

そして、「ご協力お願いします!」と笑顔で元気に面白「イエローカード」渡します。
他のお客様にも聴こえる大きな声で。
それでも、続くようなら、審判が再び走る。

大声大騒ぎを控えていただくyellowcardビジュアル

カードには「イエローカード」が3枚溜まったら退場と明記。
本当に騒ぎが収まらないようなら退場もやむ負えない。
毅然とした行動が他のお客さまの信頼信用に繋がります。
お客様の特性によって、対応は変わります。
いくつかのパターンを用意します。
ユーモアとウイットに富んだ食文化を作りましょう。

食文化は育ちがたく壊れやすい

食文化は、その国の人の暮らしそのものです。
生活と密接に結びつき、土台にもなっています。
食文化を理解することは、その国を理解することにも繋がります。

毎日の食事が、戦争のない平和な毎日の中でコツコツと積み重なり、国や地域の文化になります。

文化に走ると国が傾くという歴史もあります。
「論語と算盤」に経済も文化も発展した中国の宋王朝が滅亡した史実が紹介されています。
学者たちが社会正義の道徳にとらわれ、政治家は覇権争い、宮中は贅沢ざんまい、国民はなまけます。

さらば、わが愛 覇王別姫

国が傾けば、文化が破壊されるのは一瞬です。

「さらば、わが愛 覇王別姫」では、一つの国の文化が一瞬に、それも自分たちの手で壊される姿が描かれます。
中国の大衆から生まれた古典演劇「京劇」をモチーフにした役者たちの生き様が圧巻です。
カンヌのパルム・ドールを受賞。
今も、全国各地の名画座で再上映される名作です。


文化とは何か?
食文化の使命にまで思いが巡ります。

社会正義の道徳ばかりでも国を亡ぼしてしまう。
自分さえよければいいと個人の利益ばかりを求めても国が機能しなくなる。
渋沢栄一は、「論語と算盤」の中でバランスが重要だと説いています。

食文化が重要になってくるわけ
  • 海外旅行が難しい環境が続いています。
  • 異国料理の食事は、小さな旅の気分も味わえます。
  • 海外で修行してきた料理人も増えました。
  • 食べ物が体を作ります。
  • とこで食べたかで心が養われます。

渋沢栄一が設立に関わった「帝国ホテル」。
メインダイニングのレ セゾン Le Salonの 第14代 東京料理長は、杉本 雄氏。
杉本さんも13年間欧州で料理を学んでいます。

本場の外国料理を提供する専門店は、海外体験のあるお客様に応援されてきました。
例えば、イタリア料理店の有料のミネラルウオーター。
アックア ガッサータ? ナテュラーレ?
発泡性の天然水かガスなしか?
本場に来たかと錯覚させてくれる再現性が高い本物志向の店ほど海外の記憶を追体験させてくれます。

  • 韓国の焼肉料理
  • 香港の点心
  • 南イタリアと北イタリア、イタリア各地の食文化
  • テックスメックス、ケイジャン、ベトナム、台湾、インド料理などなど

世界の料理を都心でも味わえるようになりました。

価格競争に巻き込まれない心得

都心の料理店は、分母が大きい。
そのため「食文化」をお客様と育てていきやすい環境にあります。

地方都市の食文化は、待ちの営業では、食文化の先細りが起きます。
一人の人間が受信できる情報量は限られています。
資本力があり、価格競争にさらされている企業は、存亡をかけて、情報を発信します。
LINE、Facebook、メルマガ、ダイレクトメール、電話、手紙、ポスティング。
戦略を練り、計画的に情報を発信します。
機能だけで選ばれてきた飲食店は、価格競争にさらされます。

同じ土俵に乗っては、勝ち目はありません。
1か月、あるいは、半年、利益度外視であなたのお店に行くはずだったお客様を価格やトレンドの商品で釣ります。
利益は、あなたのお店が潰れてから回収すればいい。
兵糧攻め。
古典的な手法です。
戦に備えねば。

食文化を育てる具体的手法

おすすめはセールスじゃない

おすすめ商品を客単価や売上を上げるための商品だと勘違いしているスタッフがほとんどです。
店長どころか経営者まで勘違いしている場合も多い。
おすすめ商品は、お客様を喜ばせる商品です。
喜ばせる自信が無い商品は、そもそも、おすすめにしてはいけません。

これまで、全国に普及したおすすめ商品を確認します

  • パルメザンチーズをまるごとテーブルにドン置くリゾット
  • 焼いたトロトロのチーズをステーキに掛ける
  • 刺身の点数が5点なのに8点つけてしまう刺し盛合せ
  • 掛け声とともに溢れるまでイクラを乗せるイクラ丼
  • 少量ずつ10種類くらい乗ったデザート盛合せ

お客様をびっくりさせたり、驚かせたり。
つい、つい、話題にしてしまうおすすめ品でした。

さて、全国区になるほどのおすすめ品を開発するのは毎回毎回は無理です。
お客様もよきに計らえの王様の余興ではないですから、そこまでは期待していません。

お客様が期待しているのは

スタッフが自分のためにすすめてくれた心遣いです。

半年ぶりに実家に帰ったとします。
お母さんが娘、息子のために好物を作って待っててくれた。
その気持ちです。

好物を作ってくれたんだけど、今日は食べる気がしない。
お母さんはがっかりするかもしれません。
けれど、違う料理を食べたいと言うと早速作ってくれる。
その心遣いです。

おすすめは、お客様への心遣い。
売上や単価アップは、結果として付いてくる結果です。
この順番が逆になるとこんなことが起こります。

  • 食べたこともない(試食していない)のにおすすめする
  • おすすめを作らなきゃならないからとりあえず決めた
  • お客さんにおすすめするのをうっかり忘れてしまった

心当たりのある方は、考え方を一新しましょう。

効用

「お客さんを喜ばせるためにおすすめする」点が出発点になれば、おすすめ商品という枠が無くてもグランドメニューから、そのお客様が喜ぶおすすめ商品を選び出す能力が発達します。

喜ばせるアイディアも浮かびます。
情報触覚の感度が良くなっていくからです。

クーポン

クーポンは、集客の販促ツールではありません。
クーポンが販促ツールと言えるのは、マーケティングの学問をやっている人やホットペッパーの人です。
お店の人にとって、クーポンは、お客さんを久しぶりに訪ねる時に選んだ営業マンのお土産です。
酒に酔ったお父さんが子供のために買ってくるお土産です。
お父さんが寝ている息子を叩き起こして食べさせたいという、ある意味、迷惑だけど嬉しい寿司折や焼鳥屋の新子焼きです。

友人の家に遊びに行く時にちょっとしたお土産を持って行くと喜ばれます。
持っていく方も友人の笑顔やびっくりする顔を想像してニヤニヤしたりします。
その気持ちが嬉しいじゃないですか。
その気持ちがクーポンです。

せっかくいらっしゃるんですから、いらっしゃたら、こんなお料理やお飲み物をご用意していますよ、という気持ちです。

「お得」ではなくて、「嬉しい」」を作らなければ「食文化」とは真逆の価格競争に巻き込まれます。

同じ特典なのに気持ちが違うと表現が変わります。
お得だと「1000円割引」
喜ばせるなら「お車代1000円」のお心付けです。

心付けは、よくしてくれた人に小さなご祝儀袋とかに入れてぎゅっと手に握らせるお金です。
本来は、サービスに対するありがとうですが来てくれてありがとうだっていい。
ありがとうの1000円は、「食文化」ですが1000円「割引」は「システム」です。
飲食店を機能装置にしてしまった店は、価格競争で戦うしかない。
「食文化」はその料理の歴史や調理法ばかりではありません。
昔から、人が大事にしてきたお客さまと店員の心のゆき交う関係です。

高度経済成長時代には侍がいた

1970年代。
植木等が「サラリーマンは気楽な商売」と歌っている頃は、まだ、ビジネス界に侍がいました。

1963年公開 サラリーマンのアイコン 植木等

家庭もかえりみずひたすら仕事に体を張るサムライ会社員。
植木等が演じた「無責任男」は、そうした会社員たちへのエールでした。

彼らは、接待や商取引の場に飲食店を選び、女将さんや女給たちにわがままは言いました。
しかし、心付けは忘れなかった。
ぎゅっと手にチップを握らせる。
人の心を掴むのがうまかった。

お店の親父も絶妙なタイミングでもう1品サービスしたり、勝手に大盛りにしてくれたり。
お店とお客さんのいい関係がありました。

論語と算盤はすべての商人へのエール

2001年(平成13)、クーポン誌が創刊されました。
その雑誌を万引きしたと捕まえたら、「ホットペッパー」だったとネタになるほど生活に馴染んでいきます。
そして、各地にあったタウン誌が廃刊に追い込まれました。
私は、クーポン誌が毎月ページ数を増やすのを見ながら、日本の食文化が画一化していくのを恐れていました。
ある日、ホットペッパーの営業パーソンが次号の表紙を楽しみにして、とニヤニヤしました

その号の表紙はSMAP。
クーポン誌が飲食店の首根っこを掴んだ瞬間でした。

広告宣伝に無頓着でただ美味しい料理を出してあげたいというオーナーシェフが大勢いらっしゃいました。
銀座界隈で働く会社員に親しまれてきた老舗洋食店。
若いお客さんは、先輩が通う老舗を侮り、クーポンを持って、あっちこっちへ出かけます。
ギリギリの採算ベースのお店が潰れていきました。
自店の食文化を育てる店は高級店ばかりです。

北海道日伊協会(日本とイタリアの親善団体)の前会長の奥様に北海道の食文化について、こんなアドバイスをいただいたことがあります。
彼女は、京都から北海道に嫁入りしてきた方でした。

「京都の人間は、お客さんが店を育てる。
だから、不味ければどこがどう不味いか言ってあげる。
北海道の人はそれをしませんね。
嫌だと何も言わずに行かなくなる。
それでは、文化は育ちません。
あなたたちもおきばりやす!」と。

人と人の関係づくりはどんな商売でも同じです。
素敵なことなのに。
つい、目先の利益に走ってしまう。
気づくと地方にあった近所の商店街が廃れてしまった。
自分たちで地域の文化を壊してしまいました。

お客さんがお店を育てる。
お店がお客さんを育てる。
一番難しいことかもしれません。

だから、渋沢栄一は、日本の商人のために「論語と算盤」を残しました。

コロナ禍生き残りは「食文化」という共有価値 飲食店Public Relations講座

ファストフードが専門店を凌駕するのか?

新型コロナ禍において、ファストフード3社の売上が好調です。
日本マクドナルド、KFCケンタッキーフライドチキン、モスフードサービス。

好調の理由はテイクアウト需要にうまく対応していること。
それだけでしょうか?

ファストフードは、早くて安い即席フード。
専門店とは、別業態と市場を区別しています。

イタリア料理では、サイゼリアの全国展開。
ワインも自社直輸入で低価格です
ステーキハウスでは、いきなりステーキの大躍進。
ファストステーキは、人気のあまり、競合が乱立しました。

ファストフードは、より専門性の高い食の領域にも広がっています。
逆に専門店は、人手不足や加工品の品質向上でファスト化。
特に専門店のスタッフがファスト化しています。

メニュー料理の調理法、どんな料理にあうのか、このお酒やワインの飲み頃の温度は?
なぜ、その料理や飲物をおすすめするのか?
明快に答えられる体制を整えている店は、専門店として勝ち残っていくでしょう。

本来、専門店が得意としてきたスタッフの販売力が落ちています。
ファストフードほど行動規定に縛りが少ない分、暇になるとアルバイトがおしゃべり。
昭和の飲食店といえば、水商売と言われていた時代によくあった光景です。
商品知識の習得どころではありません。

深みのある食文化の領域は、高級店の一人舞台になってしまいます。
中堅の専門店、カジュアルな専門店は、ファストフード業界に市場を奪われていく危機にあります。

ファッションの変遷を見てみましょう。
ZARA、H&Mをはじめとしたファストファッションは、旧来の老舗メゾン主導の流行トレンドサイクルを追い抜きました。
ファストファッションは、メゾンが1年、2年かけて練り上げるモードを半年、3か月周期でしかも低価格で、生もののように提案し続けています。
地球環境や世界の貧困格差などの社会問題にも敏感です。
洋服を売っているというより、ファッションという「価値」をお客様と共有する空気感です。

ファストフードにも「食文化」があります。
今回は、前記の3社ファスト業態が築いてきた「食文化」という無形財産をたどります。

「食文化」は、重要です。

理由は3つあります。
  • 食文化のない飲食店は価格競争に巻き込まれる。
  • 食文化はお客様と育てる共有価値である。
  • 食文化がその国の民度となり他国から尊敬される価値となる。

マクドナルドの文化

創業者、レイ・クロックは、全米を走り回るミルクシェイクマシーンのセールスマンでした。
レイは、早くて、出来立て、品質が安定しているマクドナルド兄弟の繁盛店に出会います。
車作り「フォード」の生産ラインを参考にしたビジネスモデルでした。
レイは、マクドナルドの食堂を買収し、共通品質のクイックサービスレストランを世界に展開します。
創業者、レイ・クロックのマクドナルドはアメリカンドリームという文化も内包しています。

  • 常にお客様に最高の店舗体験を提供するため「QSC&V」を向上。
  • Q品質×Sサービス×C清潔によるVバリュー=価値を実現。
  • マニュアル(作業手順)は2500項目以上。
  • No.1プライオリティは「ピープルビジネス」であること。
  • ハンバーガー大学で人材を育成。
  • 「スマイルゼロ円」を他社よりもいち早く教育。

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』予告編

レイ・クロック自伝

https://amzn.to/32xlo6E

モスバーガーの文化

日本発祥です。

  • テリヤキバーガー、ライスバーガーなど和風のオリジナルバーガーで成功。
  • 注文を聞いてから作るアフターオーダーシステムで好みに合わせたカスタマイズも可能。
  • 日本の食文化である出汁や発酵、味噌に醤油、水飴や果物のエキスも使用する。
  • 医食同源 「安全・安心・健康」にもこだわり、協力農家にて「モスの生野菜」も生産。

日本ケンタッキー・フライド・チキンの文化

創業者カーネル・サンダースがガソリンスタンドの食堂で、フライドチキンを開発。
レシピを販売するというフランチャイズ方式で成功。
圧力釜の特許を取得。
1970年、大阪万国博覧会に日本初、実験店舗を開設。

  • ケンタッキーでクリスマス、お正月、記念日、ハレの日の特別なごちそうの位置を獲得。
  • ハーブや香辛料の効いたクセになるアメリカの味覚にびっくり。
  • 創業者カーネル・サンダースの願いは「誰にもまねのできないおいしさとおもてなしの心」
  • 創業の味を忠実に再現しているとカーネルは、日本の店舗を気に入っていた。
ケンタッキー・フライドチキン日本におけるCM

ファストフードは、伝統的な「食文化」とは真逆な見方をされることがあります。
確かにヨーロッパや中国大陸の王朝が食べていた高級料理ではありません。
アフリカや中東の伝統的な食文化でもない。

ファストフードは、米国経済の動脈となる自動車社会とともに発展。
さらに不況がファスト業界発展の後押しをします。
ファストフードは、欧州から新大陸へ渡ってきた移民たちが生きるために育てた「食文化」の一つです。

また、私たちは、ハンバーガーやフライドチキンにアメリカンドリームを感じています。
ハリウッド映画やグラミー賞、大リーグ、アメリカンフットボール。
アメリカのカウンターカルチャーへの憧れがコカ・コーラを始めとする飲食に価値を見出しています。

ジョージ・ルーカスが描いた60年代の青春。
American Graffitiのファーストシーンは、ハンバーガーレストラン、メルズ・ドライブインから始まります。
ユニバーサルスタジオのハリウッド・エリアにも再現されています。

ユニバーサルスタジオのハンバーガー・レストラン「メルズ・ドライブイン」

https://www.usj.co.jp/web/ja/jp/restaurants/mels-drive-in

American Graffiti ファーストシーン

1971年、日本では、マクドナルドがハンバーガーショップ第1号店を銀座三越にオープン。
米軍基地やアメリカ統治の沖縄にしかなかったハンバーガーが全国に。
コカ・コーラ、ハンバーガー、ハーレーダビッドソン、ロックミュージックなど、アメリカ文化が一気になだれ込みました。

日本マクドナルド1号店オープン


ファストフードの文化をまとめます。

  • アメリカのカウンターカルチャーの象徴
  • 時間とお金の節約という経済性に富んでいる。
  • 昔は車での移動に、今はパソコンの前にと場所を選ばない機動性がある。


1970年 映画、イージー・ライダー公開。

食糧危機を救うと言われる人工肉。
病気を予防するデザイナーフーズ。
宇宙食がファストフードの伝統を引き継ぎ新しい食文化を作っていくのかもしれません。

新聞、雑誌が売れなくなった

新聞、雑誌の発行部数が減っています。

新聞、雑誌が社会人の常識とされていた時代があります。
ニュースを共有することが人と人のコミュニケーションに不可欠でした。

2020年前半6カ月間の発行部数

それぞれの新聞や雑誌にファンがいました。
読売新聞は巨人ファン、インテリや受験生は朝日、政治的に保守派は産経、革新派は毎日など。
経営者や管理職は日経、流通業は日経流通(MJ)、製造業は日経産業。
その他にも農業、漁業、工業にたずさわる方たちの新聞が発行されています。

今も新聞は、速報性では、ネットやテレビには負けますが読みやすさではダントツ。
大まかに時代の流れを一望できます。

2021年1月度のABC部数

朝日:4,818,332(−431,432)
毎日:2,025,962(−277,821)
読売:7,310,734(−576.252)
日経:1,946,825(−281,066)
産経:1,223,328(−125,236)

前年同月との比較でマイナス12万~43万部減っています。
とは言うものの5紙の合計で約17,325,000部

2020年度10月新聞発行部数

2020年度10月次で一般紙合計約32,454,000部
瞬間瞬間に入ってくるネット情報の価値を精査、整理できるので、業務に関わる新聞や雑誌は、ペーパーでもWebでも定期購読すると情報入手のリズムができます。

新聞は戦後の日本を立て直した

さて、かつての新聞は、理想に燃えていました。
戦時中の戦争扇動の責任を反省。
日本を国際社会においても一流の国にしようという理想が新聞各社の社是に掲げられています。
読者もスポーツ選手の活躍を応援し、政治家の汚職に怒り、研究者の受賞を共に喜び、新聞は、読者と共に育っていきました。
新聞社は読者の一段上から、リレーションシップを持っていました。
やがて、新聞社は、ラジオやテレビ局に出版社を持ち、巨大化します。

今、新聞に全くないとは言えないまでも、私たちがリレーションシップを感じるのは、Youtuberだったり、特定のメルマガやブログだったりします。
新聞に記事の文責として、記者名があるもののたいていは、顔を見たことも、声も聴いたことがありません。
これだけ、メディアが発達している時代に読者の元に降りてきて、会話をする事すらないというのは、どういう頃でしょうか。
記事を読むと新聞記者は、読者に取材はしているようですが意見交換をしている姿を見たことがありません。

誤報が起こり「読者モニター対話集会」を開いた新聞社はありました。
「信頼回復と再生のための行動計画」という格式ばった名称の記録がWEBにアップされています。
この双方向の情報システムが発達した時代にこれまでのやり方を変えきれない。
環境の変化に対応しきれていないように感じます。

一方通行。
ガラパゴス化しているのではないでしょうか。。

新聞者の論説委員がコメンテーターとして、テレビに出演していることがあります。
タレントとしてであって、読者と交流するために話しているわけではないようです。

戦後、新聞記者や雑誌編集者たちは、日本を幸せに暮らせる豊かな国にしようにと24時間戦ってきました。

雑誌が読者と街の文化を育てた

1964年創刊の平凡パンチ。
何か面白いことをやってやろうという情熱で雑誌編集者、カメラマン、スタイリストたちが全国、世界を飛び回りました。
若い男がおしゃれにうつつをぬかすなんてという風潮をVANやJUNのメンズモードで銀座を歩かせました。
平凡パンチは、読者と共に育ち、POPEYE、アンアンなどの若者のカルチャー雑誌へと継承されていきます。
新聞にも雑誌にも共有できる価値があった時代です。

現代は、個人が海外に飛び出し生の人や技能や芸術に出会い、学べます。
インターネットで家にいながら、仮想体験もできます。
世界が見えて、自分の可能性にも気づいています。

WEBコンテンツの作り手たちは、いち早く受け手の変化に気づき、サロンを開設しました。
受け手と交流しているから気づけたことです。
サロンでは、コンテンツの制作者と受け手の共有価値が生まれ、育っています。

売っているものが何か原点に還る

音楽の音源がデジタル化した時にも同様な事が起きました。
レコード盤やターンテーブルやレコード針が売れなくなった。

けれど、音楽そのものが売れなくなったわけではありません。
楽曲自体は、SONYのウォークマンが音楽を街に連れ出した時以上に再生されています。
楽曲ばかりか、本や講演セミナーの音声も大量に配信されています。

新聞、雑誌が扱う情報についても同じです。
新聞、雑誌を買うことがなくなっても、新聞、雑誌に収まりきらない情報が世界中でやり取りされ、活用されています。
たとえ、新聞や雑誌がWEB発信に切り替わっても、レコード盤やレコード針として機能するままなら、受け手は、自己実現できる他のコンテンツを選びます。

もしも、新聞、雑誌がいち早く、無料で情報を配信していたらどうなっていたか。
散乱した情報よりもキュレーション選別され、プロが構成した記事の方が読みやすい。
個人の情報に負けることもなく、雑誌社や新聞社が取材しきれない世界の情報を集約して、整理する情報のプラットホームになっていたかもしれない。
情報さえ、自動的に集まれば、そこから収益システムも構築できました。

インターネットのコンテンツ制作者は、新聞雑誌の失速を尻目にプラットホームを作ってしましました。

飲食店はプラットホームになろう

さて、飲食店が扱う「飲食」は、どうでしょう。
新型コロナ禍とはいえ、朝、昼、晩には、お腹がすきます。
時には、お酒が飲みたくなり、家飲み消費は伸びています。

お客様は、美味しいものを食べて、時には、美味しいお酒を飲みたい。
けれどお店は、どうしても実店舗への集客にこだわってしまう。
新型コロナ禍で、店というハードは、レコード盤のような物です。
レコード盤を買わなくなっても音楽ファンがいるように「食文化」のファンはいます。
やり方さえ間違わなければ、レコード盤という物質の縛りがあった過去よりも多くの「食文化」のファンを生み育てることも可能です。

飲食店Public Relations講座 大統領のハンバーガー「論語と算盤」食文化の武士道

米国のハンバーガー文化

菅首相とバイデン大統領の昼食会にハンバーガーがもてなされました。

グルメハンバーガー

鳩山元首相が
「外務省の自尊心の欠如も相当だが、夕食会を断られハンバーガー付きの20分の首脳会談では哀れでした。それでもバイデンの最初の首脳会談は日本と自慢するのかな」とツイート。

鳩山由紀夫氏の道徳観のバランスの悪さ。
「論語と算盤」にある武士道の欠如です。

武士道の正義、廉直、義侠、敢為、礼儀

  • 正義 真っすぐで公平だと誰もが認める
  • 廉直 子供みたいな純真さが好かれる
  • 義侠 弱いものを助ける義侠心が感心される
  • 敢為 成しとげる強い意志に感服する
  • 礼儀 相手を敬う精神があり異性や年長者の友人も多い

鳩山さんには、この精神が感じられない。

何よりもハンバーガーに関わるRelationship「人と人の関係」を何も考えていません。
鳩山さんの自尊心の貴さとハンバーガーを嘲笑う気持ちが伝わってくる。

また、菅首相もハンバーガーに手をつけなかった。
包んでもらって、持ち帰ってくれば良かったのに。
「かたじけない」と、相手の心遣いを受け取るのは武士のたしなみです。
ハンバーガーを侮ったと誤解されかねない。
この日のために
ハンバーガを命懸けで調理した調理人がいたかもしれない。
あるいは、奥様の手作りだったかもしれない。
ファーストレディ、ジル・バイデンがキチンの片隅で泣いていたかもしれない。
失礼です。
食卓に供えられた牛の命に対しても。
「食文化」に対する意識が低すぎます。

これが、日本の「食文化」への価値評価だと飲食業界の私たちは、自戒しなければなりません。
お客様を育てるのも飲食業のミッションです。

ハンバーガーがどれだけ米国人に愛されているか。
次の映像は、1950年代、ダイナースタイルのレストランから、ハンバーガ―レストランに展開したジョニーロケッツの開店映像です。
1986年、出店地はL.A、メルローズアベニュー、ファッショナブルな通りです。

https://youtu.be/4b0EUUA1AIs

ハンバーガレストランの原型でもあるダイナースタイルも紹介します。
1990年代に日本でも大ヒットしたテレビドラマから。

Beverly Hills, 90210、邦題はビバリーヒルズ青春白書

ハンバーガー一つにも、米国の生活文化が広がっています。
外交とは何か?

貿易や防衛の話をする前にお互いを尊重しあえる関係ができれば、交渉もしやすいでしょう。
米国という人様の家に招かれた菅首相がもてなされた「ハンバーガー」を口にしなかった。
飲食業の敗北です。

飲食店の日々の小さな営みが街で暮らすたくさんの人たちの心をくつろがせます。
人と人が心を触れ合わせる。
飲食店で起こる小さな出来事には、大きな使命があります。

勝利は軍事力ではなく、ストーリーによって決まる

「パブリック・ディプロマシー」広報外交とは、文化交流を通じて、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動です。
飲食ビジネスは、文化交流の拠点作りにもなります。

Dr.Nancy Snow/ Mundi Professor of Public Diplomacy

京都外国語大学のパブリック・ディプロマシーの専門家、ナンシー・スノー教授が日本人に欠けている「パブリックリレーションズ」能力を指摘しています。
飲食店の強みになる文化交流の視点にも重なるのでご一読ください↓

一方で、菅首相の政治家としてのカンがハンバーガーに手をつけなかった、ということも考えられます。
米国産牛肉の輸入課題に誘導される可能性もある。
「三十六計逃げるに如かず」

なら、日本にもライスボールという伝統食がある。
逃げ出さず、おふくろの料理を自慢しあうほうがよほどお互いを理解しあえる。

残して帰るのはダメでしょう。
お行儀が悪い。
菅首相も帰国して、奥様に叱られているかもしれません。

ハンバーガー外交の課題をまとめました。

  • ジョー・バイデン大統領がハンバーガーを選んだわけ
  • コロナ禍に夕食会が開かれない理由
  • ハンバーガーというアメリカの食文化への理解
  • バンズ(パン)、パテ(牛肉)生産加工者と料理人への尊敬
  • 飲食の源となる命への感謝
  • 食事を共にするという飲食の意義

鳩山家が歴史の表舞台に出てくるのは、明治維新、鳩山由紀夫の曾祖父の代から。
渋沢栄一とも日本倶楽部という当時の名士たちの社交クラブの設立に関わっています。

日本倶楽部ホームページ

http://www.nihonclub.jp/

鳩山由紀夫さんにも菅首相にも「論語と算盤」を読み直し、私たちと一緒に人格を磨いていただきましょう。

「論語と算盤」から人格と修養を要約

人が動物と異なる点

道徳を身につけ、知恵を磨き、世の中のためになる貢献ができる点

人の真価とは、優劣の評価とは

社会のために尽くそうとした精神と効果によって行われる
「成功か失敗か」は二の次である。

「修養」には際限がない。

知識で頭でっかちになり、実情に合わせて現実に応用できなかれば意味がない。

現実と学問の調和

徳川家康の「論語と算盤」

コロナ禍で、飲食業界の勢力図も変化しています。
大量閉店と大幅赤字。
企業体が大きいほど数値も巨額です。

外食ランキング 東洋経済 記者 中尾謙介氏

https://toyokeizai.net/articles/-/423487

「論語と算盤」から、菅総理、鳩山元首相たちからも尊重される「食文化」を学びます。

徳川家康も論語を学んでいました。
徳川家康は、「天下が28に分かれている」という戦国時代を武力と儒学で国を平定します。
儒学とは、儒教。
孔子の教えです。

徳川家康の遺訓

「人の一生は重荷を負て遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
 不自由を常と思へば不足なし。心に望みおこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。
 堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思へ。
 勝つ事ばかり知りて負くる事を知らざれば、害その身に到る。
 おのれを責めて、人を責むるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり」

出典 東照公御遺訓 (諸説あります)

人の一生は、重い荷物を背負って遠い道のりを行くようなもの。急ぐな。
不自由が当たり前だと思えば、足りないことはない。
心に欲しい気持ちが起きたら、苦しい時を思い出せ。
絶え忍ぶことが安らかで健康な時が長く続く基本。怒りは自分の敵。
勝つことばかりを知って、負けることを知らないのは害。自分を冒す。
自分を責めて、人を攻めるな。
足りないほうが、やり過ぎよりまし。

儒教を飲食店経営に当てはめてみます。

孔子の教え

修身斉家治国平天下 しゅうしんせいかちこくへいてんか

「国民一人一人が自分を修練し、家庭を整えて、国が治まり、天下が平和になる」

飲食店へ実用解釈

「自分を磨き、幸せな家庭を育み、店舗を治め、地域社会を豊かな住みよい住処にする」

儒教とは?駆け足解説

孔子の基本理念「五常」の徳目を守ることで「五倫」の人間関係がうまくいく。

「五常」とは、「仁・義・礼・智・信」

「仁」 お客様、従業員、取引先など人を愛し、気遣い、思いやる
「義」 利益や欲望ばかり追い求めず、社会のため人のために行動する
「礼」 身のほどをわきまえ、絶えずわが身をふりかえり、相手に敬意を払い接する
「智」 幅広い知識と知恵を実社会に活用して、道徳や常識をわきまえ、善悪を判断する。
「信」 人に誠実に裏切らず、信頼を積み重ね、信用を得る。

「五倫」とは、「父子・君臣・夫婦・長幼・朋友」の人間関係

デメリット

「江戸中期、理論と現実を融合させられない」ことがあった。
「頭でっかちの理論」がもてあそばれてしまった。
現実との調和が何よりも大事。

自分を磨くことは「自分らしさ」を損なうことではない。

古典「大学」

格物致知 [物の本質を掴んで理解する。]

思想家、王陽明

致良知

[心の素の正しさを発揮する]

自分磨きは、自分の心を正しくして、魂の輝きを解き放つこと
精神、知識と知恵、身体、行い全てを鍛錬する
青年も老人も全ての人々が行う

今日は、時間切れになってしまいました。
後日、整理加筆します。

Hard Rock Cafeと「論語と算盤」飲食店のメディア戦略 飲食店Public Relations講座

店舗のコミュニティ放送局の役割

飲食店の放送局の情報発信の目的をまとめます。
店のビジョン、ミッション、コアバリューを具現化して、共有することです。

  • ビジョン(vision) 実現を目指す、将来のありたい姿
  • ミッション(mission) 企業が果たすべき使命であり、存在意義
  • バリュー(value) 組織の共通の価値観
  1. 理想の姿、使命、価値観を明確にします。
  2. 言語化、映像化した情報をお客様と楽しみます。
  3. 発見、感動、お客様の心を動かすコンテンツを作ります。

商品カットになっているコンテンツは作り直しを

お店や商品の紹介が商品カットになっていませんか?

商品を客観的に伝えなければならない情報もあります。
不動産や馬の売買など商品取引に関わる情報は機能や形や質感などを画像や映像で確認しなければありません。
文章にするなら、仕様書のようなものです。
たいていは、引き込まれるほどの面白さは必要とされません。

商品カットを集めたようなコンテンツは、丁寧に作られている場合が多い。
上質なのでいいコンテンツだとお金を支払った側は思いたい。
プロの制作会社が作っている場合もあるでしょう。
映像制作会社が限られた時間と予算の中で、飲食店のビジョンまで潜ませた映像表現をするのは、なかなか難しい。

私がいた映像プロダクションには、電通、博報堂、東急エイジェンシー、アサツー・ディ・ケイさんなど多くのディレクターさんが入れ替わり立ち代り、CM制作にやってきました。
たくさんの映像制作の現場で気づいたのは、企業のビジョンまで予感させるコンテンツを作るディレクターはごくわずかだということ。
職人やアーティストの要素に加えて哲学者の要素も必要です。

表現事例

では、心を動かす映像コンテンツを観ていきます。

Hard Rock Cafe

おすすめの動画です。
https://www.facebook.com/watch/?v=296253615202016
ご覧ください。

たった1フレーズでこれだけの説得力。
感性。
この一言に付きます。

ハードロックカフェは、店自体がメディアになった代表例です。
コロナ下で閉店する店があるものの世界の主要都市に180店舗以上。
飲食におけるブランドビジネスの王様です。

Hard Rock Cafeホノルル

お店を案内もドラマ仕立てに展開します。

動画情報も音声情報もあふれています。
面白くなければスルーされます。

ハードロックカフェのビジョンを確認しましょう。

ハードロックカフェの精神

  • LOVE ALL – SERVE ALL すべての人に敬意をもって
  • TAKE TIME TO BE KIND 人々に親切にする時間を持つ
  • SAVE THE PLANET   地球を救う
  • ALL IS ONE      すべては一つ

まさに渋沢栄一が学び続けた論語、武士道の魂です。
150年以上も前に渋沢栄一が欧米で見つけた発見が今も脈々と息づいています。

店のビジョンが明確です。
Youtubeに上げられた多くの映像コンテンツが明確なビジョンを具現化しています。

ハードロックカフェという店舗は、店を超えた「集合知」になりました。
そして、多くの社会活動も実施しています。

  • PINKTOBER 乳がんの早期発見、早期検診、早期治療を啓蒙するチャリティ活動。
  • Imagine 飢餓や貧困から子供を救うチャリティ活動。
  • Signatureアーティストや、その遺族から提供されたアートをプリントしたTシャツを制作販売し、その売上の一部をアーティストが指定する慈善団体に寄付する活動。

その他
・ビーチクリーンナップ
・チャリティライブやパーティーの開催
・災害などで被災された方への支援活動等

また、ハードロックカフェは、お客様と一緒に慈善活動に取り組んでいます。

出典 ハードロックジャパン HP

http://hardrockjapan.com/philanthropy/

店舗のコミュニティ放送局自身が店そのものを体現します。
見ているだけで行きたくなる。
見ているだけで仮想体験できる。
コンテンツを見ながらお酒を飲めるくらいのクオリティを目指します。
それは、面白いかどうかです。

デスクに向かっていても面白いアイディアは浮かびません。
同じ釜の飯を食っているメンバーといくら相談しても釜の中で煮詰まるだけです。
外へ飛び出しましょう。
何が面白いか。
答えは、お客様が持っています。

お客様との交流をメディア化する。

お店という空間を活用します。
オンラインではなくてオフラインで実施します。
そして、オンラインでもオンエアします。

早朝~営業前までの時間帯
  • 接客英会話
  • 街ランニング付き朝食会
  • 映画鑑賞と感想会
  • トレンド勉強会
  • 様々な経営書を教本にして学ぶ読書会
  • 接客英会話国際交流の講習交流会
  • 試飲会
技能、知識講習会、交流会の実施

地域の食文化で活躍するリーダーを講師に招きます。
彼らの仕事への動機や仕事のやり方を肌で感じていただき実務へ生かしていただきます。
同時に参加者と講師のパイプを作り、参加者それぞれの人生の糧にしていただきます。

料理人、ソムリエ、醸造家、杜氏、畜産生産者ほか

では、終わりに放送コンテンツ制作と同時進行で進める営業企画プラン事例案を紹介します。
この新型コロナ感染対策として、ぜひ、参考にしてください。

ハードロックカフェの精神を渋沢栄一は、150年前に欧米で体感しました。
現代よりも、より純粋な形で武士道とハードロックカフェの精神の共通点を読み取れます。

個人の未来×店のビジョン「論語と算盤」飲食店Public Relations講座

人間関係を悪くするタイプに自分勝手があります。
みんなでやっていく方針を立てたのに自分勝手に行動する。
たとえば、あれ?いなくなったな思ったらキッチンの隅で煙草を吸っている。
全員で行動目標を決めたのに協力的じゃない。
やり方を変える。

自分勝手な行動の対策は

  1. 規律を作る。
  2. ビジョンを共有する。
  3. 信頼関係を作る。
  4. 「さん」付けの敬称に統一する。

仲良しグループで和気あいあいとお店を運営していきたいという理想を描きます。
責任者がオーナー料理長などの場合は可能です。

なぜなら、料理の世界には、「料理道」というほどの「武士道」魂が生きているからです。
伝統の技術を伝承し、医食同源に人の命をあずかる調理の仕事です。
ちゃん付けやニックネームで呼ぼうが厨房には、武士道が息づいている場合が多い。
規律も、料理店としてのビジョンも、師弟関係の信頼関係もすでにあるからです。

悪ければ、独裁店舗、上手くいけば、家族的経営です。
会社経営として運営している飲食店がパパママ店のいいとこどりをしようとしても難しい。
店長はママのように愛情豊かじゃないし、料理長はパパのように厳しい優しさがあるわけじゃないからです。
社員として働いている料理長や店長は

  • スタッフ全員の法律を作る。
  • 店のビジョンと今期の目標数値を共有する。
  • 一人一人と信頼関係を築く。
  • 役割として働いているのであって、仲良しこよしではないことを「さん」付けで日々認識する。

上記が大事です。

規律を守らない人がいたら

規律を守らないスタッフには、店長マネージャーが個別に面談します。
規律を守る約束なのは、わかっているはずです。
なぜ、自分勝手なな行動をとるのか、話し合います。

  • 店に休憩時間が無いから、自分で休憩時間をつくっていた。
  • 煙草がきれるとイライラする。
  • 自分は、個人売上のノルマを達成している、何をやっても自由だ。
  • 自分のやり方の方が作業効率も良くて理にかなっている。

面談で聞き出した自分勝手な原因がわかったら、改善します。

  • 店や会社側の改善
  • 常識的な観点からの人間としての改善 
    *「論語と算盤」の常識とは何かを別項目で詳しく解説しています。
  • 本人の人生設計の確認
  • *売上を上げるいちプレーヤーとして一生やっていくのか、管理職になって給与を上げていきたいのかなど。

解決しきらないこともあるでしょう。
気にせず、次へ進めます。
本人に寄り添い、1歩でも前進することが信頼関係作りです。
結果がついてくれば、マネージャーは信頼されていきます。

個人の未来を予測する

人それぞれにビジョンがあります。
と、言いたいところですが、毎日をなんとなくすごしている場合が多い。
特に若い頃は恋をしたり、仲間と騒いだり楽しい誘惑が多い青春時代です。
「私はどうやって生きていこうか」なんて、人は、よほど切羽詰まった状況や青年実業家くらいです。

つまり、店のビジョンを策定しても個人の理想像がないと実行するのが難しい。
個人の将来設計や人生哲学のような志が無いと店のビジョンにも乗りづらいのです。
そこで、全スタッフと個人面談します。
そして、個人の未来を予測していただきます。

第一ステップ
  • 30代、40代、50代、60代、70代、老後の未来
  • 10年後の未来
  • 1年語の未来

文章に書き出しても、絵に描いてもいい。
描き出すと、今の決定が老後の未来への方向性を決めることに気づきます。

映画監督になったつもりでできるだけ詳しく描き出してもらいます。

個人の未来予測をする際に注意点があります。

そんなの無理だよなどの批判は厳禁です。
こちらから、じゃあ、この勉強をしたほうがいいねなどの指導は厳禁です。

店の未来が個人の未来を応援することはあっても、夢をじゃましたり、修正させたりすることはないことを理解してもらうののが大事です。

個人の未来予測で最も大事なことは「本人の気づき」です。
人間は自分が気づかない限り変化しようと思いません。
いくら人が言っても自分の中に動機が生まれないと重い腰を上げないのです。

第2ステップ

仮名)山田太郎の未来予測

  • 10年後の近未来
  • 人格
  • 家族
  • 年収
  • 住んでいる場所
  • 住まいの外装、内装
  • 車や別荘などの資産
第3ステップ

今期のプライベートな個人目標を策定

 本人のみの決意です開示しません。

以上が個人のビジョンを言語化する個人未来予測です。

店を辞めることが目標になっていることもあります。
店として、会社として、それだけ魅力が無いわけですから、反省して、魅力的な店にするしかありません。

第4ステップ

次に、店のビジョンの策定です。
*細かい注意点は別項で解説しています。

店舗ビジョン策定計画

店舗ビジョンの原案を提示
  1. ビジョン策定の目的
  2. 店舗理念(店の存在意義)
  3. 店舗ビジョン(理想の姿を言語化、ドラマのワンシーンのようにビジュアル化)
  4. 店舗の使命(どのような事を実現していくのか)
  5. 行動目標(具体的な行動を言語化)
  6. 年間の売上目標、利益率目標
  7. 半期の売上、利益率目標
  8. 来月の売上、利益率目標
第5ステップ

上記の店舗ビジョンに個人がどのような貢献を目指すのかを決めます。
店作りに自分が何をやっていくのかという役割分担でもあります。

店のビジョンと売上目標を達成する個人目標
  1. 売上貢献について
  2. サービスについて
  3. 組織作りについて
  4. 商品開発について
  5. 販売促進について

信頼関係づくり

ここまで来れば、信頼関係の土台ができました。
あとは、行動あるのみです。

「さん」付けに敬称を統一する。

ある飲食店の事例です。
全員を「さん」付けで呼ぶことに決まりました。
目上も年下も性別関係なく「さん」づけで呼びます。
さんづけは、社長命令で決まりました。

約年商8億で「さん」付けの敬称を統一して、今は年商35億を超えています。
個人の年収を上げていくには、売上と利益を上げていくしかありません。
企業の未来もスタート地点で決まります。

ニックネームや敬称を付けづに呼び合う店があります。
人間関係が上手く行ってる時はアットホームな家族的な雰囲気に溢れます。

ところがひとたび人間関係が悪くなると、呼び捨てです。
ニックネームにも侮蔑の感情がこもります。

サービス業は働いているメンバーの縦横のネットワークがお客様の価値に直結します。

例えば、ピークタイムにアルバイトスタッフがお客様の会話から、今日が誕生日だということを聴きつけたとします。
誕生日のお客様にはサプライズでケーキをお出しして、みんなでバースディソング歌うことになっています。
お客様を喜ばせる誕生日の情報を店長と料理長にどれだけスピーディ届けられるかが勝負になります。
情報伝達が遅ければ、お客様は帰ってしまいます。

人間関係が悪いと情報伝達にも影響します。
そんな些細な人間関係のトラブルをもぐら叩きのように解決しているうちに優良企業は、改善を繰り返し、さらに優良になります。
優良企業により優秀な人材が集まります。
給与や福利厚生を充実できない店は人手不足で苦労します。

出発点は、個人の具体的なビジョンと店の具体的なビジョンです。

人間関係を改善「論語と算盤」ビジョンが解決 飲食店Public Relations講座

出発点は、奇跡の「縁」を共有すること

人間関係が悪い店があります。
料理長と店長、店長と一般社員、社員とアルバイト、社員同士など職位や立場を超えて馬が合わない。
どちらも一生懸命なんだけれども食い違う。
小さな思い違いや誤解ややり方の違いが積み重なりある日、爆発します。
その職場を辞めたところで似たようなトラブルをまた起こす。
トラブルメーカーの誕生です。
いつもトラブルを起こす、巻き込まれる自覚のある方は、自己点検しましょう。
「自分が起こした逆境」です。

トラブルメーカーの特徴は

  • 言い方が失礼と相手に感じさせる
  • 感情をむき出しにすることがある
  • 突然怒り出す
  • 自分勝手に行動することがある
  • 気分屋
  • 返事をしない事がある
  • 相手の話を聞いていない

マネージャーは、人もいない、人間的にはいい人だ、一生懸命に働いてくれているなど、様々な理由でトラブルを抱えながら、やり過ごしていきます。
マネージャー自身が特徴にあてはまる場合は、人の定着率が悪い。
マネージャーの上の管理職がトラブルを処理しながらやりすごします。

巻き込まれる管理職の特徴は

  • 小さな問題を見てみぬふりをする
  • 一般的な道徳や倫理観に欠ける
  • あきらかな間違いを見つけても指導しない
  • スタッフと良好な人間関係を築いていない
  • 指示や指導が一方的で相手の意見をきかない
  • 朝礼やミーティングが儀礼的

そして、最も大きな特徴が

  • 会社や店のビジョンをスタッフと全員と共有していない

などです。

店のメンバーは、生まれてきた環境も違う人たちが何かの縁で集まっています。
一日8時間以上顔を付きあわせて、時には家族のこと、今日会った出来事など他愛のない話もします。

人間関係を善くするには、どんな「縁」で集まったのかを店長、マネージャーが明示し、浸透させ、共有していく事です。

悲しい思い出を告白します。

私が実際に経験した一日です。
ランチタイムもピークの時、アルバイトスタッフが電話を受けてくれました。
「店長、Aさんから電話です」と受け取った受話器を肩に挟むと両手には、グラスとアイスペールを持って、ランチのアフタードリンクに氷を詰めます。
Aさんは最近辞めたばかりのY料理長の彼女です。
Y料理長は辞めてもよくお店に顔を出していました。
お金を貯めて、彼女と店を持つんだと一度はやってみたかったという高収入の営業の仕事をはじめていました。
Y料理長は、今日、営業先で出会ったお客さんのこと、初めての業種でワクワクしている出来事、アンケートに書かれたお客様から自分への感謝のメッセージなどを仕事が終わっては、自転車をこいで報告しに来てくれていました。
Yがここに来ているとでも思ったのでしょうか。
この忙しい時に迷惑です。

BGMが鳴り響き、カラカラと製氷機の氷をグラスに詰めていますから、ななかなか声が聴き取りにくい。
電話の向こうで、Aさんがおかしな呼吸をしています。
声をふり絞るようにして、しゃべるというより、声を出しています。
おや、様子がおかしいぞ。
やっと、ふり絞った言葉は、「Yが死んだと」という声でした。
「トラックの下に巻き込まれてショック死した」と。
Aさんは、一通り話し終えると、後は泣いて言葉になりません。
何のドリンクを作っていたか消えました。
電話を切ると店のGMがどこか遠くの音楽に聴こえて。
心の中にぽっかりと真空ができて。

夜、料理長に会いに行きました。
身長が180センチ以上あるY料理長は、生きてるように眠っていました。
話しかけても応えません。
触れると冷たい、鉄のように冷たくなっていました。
20代後半の誕生日は、もうすぐでした。
マネージャーは店のビジョンを明確にする

もしも、働いている誰かが交通事故で突然亡くなったら。
私たちが一緒に働いているメンバーは、何かの奇跡でここにいるもかもしれません。
誰も不幸になってなりたくない。
日々の人間関係のいざこざで神経をすり減らすように生きていきたくない。
縁あって、一つの店にいる私たちがすごす一瞬一瞬が奇跡の時の積み重ねだというのは言いすぎでしょうか。

宗教的な話をするつもりはありません。
マネージャーは、私たちの「縁」を明示して、浸透させて、共有する責任があります。

「縁」とは、店の存在意義と使命です。

理念とビジョンとミッションです。

本部や会社なんて関係ありません。
あなたがマネージャーなら、あなたが作って明示しなければなりません。

もちろん、上司と相談する。
上司に承認していただくという会社のルールを守り、作ります。
原案は、マネージャーが作り、スタッフ全員で決めます。

いざ、原案を作ろうと座っても、一般的な言葉しか思い浮かばない時があります。

原因は、

  • 現状に問題意識が足りない。
  • 情報が足りない。
  • 運営を本部や会社任せにしてきた。
  • 店を改善することを主体的考えてこなかった。
  • 事業とは何か経営者の視点が足りない。

などが上げられます。

店のマネージャーは小さな規模であっても経営者です。
経営者ほど財務的な責任はありませんがスタッフに対しては、経営者以上に責任の重い経営者です。

店のビジョンを決めるは、まず、経営者の視点が必要です。
明治の実業家「論語と算盤」がいまだに読み継がれ、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で描かれるます。
日本がアントレプレナー、起業家の精神を引き継いできたということです。
論語という人間の心を幸せにする道徳。
人間の物質的な暮らしを豊かにするお金を稼ぐ商売。
両方の考え方を学び、店のビジョンに生かしましょう。

成長によってビジョンも成長させてもいい。
期限を1か月として店舗ビジョン策定の計画を立てます。

店舗ビジョン策定計画

原案を提示
  • ビジョン策定の目的
  • 店舗理念(店の存在意義)
  • 店舗ビジョン(理想の姿を言語化、ドラマのワンシーンのようにビジュアル化)
  • 店舗の使命(どのような事を実現していくのか)
  • 行動目標(具体的な行動を言語化)
  • 年間の売上目標、利益率目標
  • 半期の売上、利益率目標
  • 来月の売上、利益率目標

ビジョン策定のスケジュール

  • 上司に店舗ビジョンを策定することを相談し承認をいただく
  • 社員スタッフ全員が1,2,3,4の案を提出
  • プレゼンミーティング
  • 検討ミーティング
  • マネージャーが最終決断して最終案作成
  • 上司に報告
  • 社員にプレゼン
  • 修正して上司に報告
  • 最終決定
  • アルバイトスタッフへの落とし込みの情報共有
  • アルバイトスタッフへ落とし込み
  • スタッフの共有スペースに貼りだす
  • ミーティングで唱和するなど浸透共有の具体的な方法を決めて実行する

上司への承認相談のポイント

  • 会社の企業理念を具体化した店舗の行動目標だとい考えていただく
  • 現状、店にある様々な課題を解決するための行動指針である
  • 会社の企業理念などに沿った形で策定する
  • 売上、利益を獲得の方策である
  • スタッフの人間関係をまとめる方策である
  • 店舗の社員全員で作る方策である
  • スタッフ全員で店舗の行動目標を実践して、会社の企業理念を実現する

会社の理念があるから、店で独自に作ってはいけない認められなかった場合

  • 「店のビジョン」などの表現を変える。
  • 今期の方針や目指す理想像など。
  • ネーミングはなんでもいい、全員が納得した価値を共有することが大事。
  • そして、会社の企業理念を具現化していく。

飲食店の人間関係「論語と算盤」武士道に学ぶ 飲食店Public Relations講座

人間関係のトラブルは共有価値を作ってからはじめる

  1. トラブルの矛をひとまず収めてもらう
  2. 今置かれている市場環境を再認識させる
  3. 店の経営状況を自分ごととして実感させる
  4. 今すぐにでも始めなければならないことを書き出す
  5. 計画にまとめて計画の目的を共有する
  6. 目的を達成するために具体的に人間関係を改善する
  7. 人間関係のトラブルを本人たちが自ら解決していかなければ、どの職場にいっても同じことが繰り返されることを本人たちに認識させた上で自己反省と改善策を立てる

重要ポイント

  • 最初に当事者が共有できる「目的」や「目標」を明確にする。
  • 順番を変えてはいけない。
  • 二人の人間関係のトラブルを解決するのは、どちらが正しいとか間違っているとかをあばくためではない。
  • 個人的なトラブルも計画の目的を達成して、私たち全員が幸せになるためである。

1.人間関係のトラブルにはどちらにも言い分がある。
それぞれ、最もなところもある。
話すだけ話して、聴いてももらうと、本人たちも少しは気が晴れる。
なんとなくすっきりして解決した気になりうやむやになりかねない。

これを一番最初にやってはいけない。

順番が違う。
本人が反省して、具体的に改善しようという姿勢にならなければ、繰り返し、もぐらたたきに終始することになる。

長年の習慣が作った人の性格は変わりづらい。
当事者が頭にきてムカムカしてても、まずは、問題を脇へ置いてもらう。

2.最初にやるのは、私たちが置かれている市場の状況分析。
今、いがみ合ってる時か?
新型コロナの感染症対策で感染源になりうる飲食店がいらないと言われている。
店は赤字。
そんな時にケンカをしている。
私たちの給料は、これまでの会社の貯金か、公的資金か、金融機関の融資から支払われている。
いってみれば、生活保護で暮らしているようなものだ。
給料や仕事が無くなるかもしれないという時に極端な話、どっちが悪くて、正しくたってどっちだっていい。
今は、どっちが正しいとかの話をしている時なのか?

3.私たち自身がすぐにでも取り掛からなければならないことを考えてもらう。
では、今は何をする時だろう?
お客様の安全を確保する。
今まで以上に清潔で安全な店の状態を保つ。
売上を上げる。
利益をねん出する。
できることは山ほどある。
時間は、うちも競合も同じ時間しか持っていない。
店の存在意義を高める時間とケンカ、どっちをやるのか?

4.店の将来を優先するなら、計画にまとめて実行しよう。
期日は?担当者は?何を?量は?

5.世界中の人たちがコロナと戦っている。
リーダーが舵取りを間違えれば、国を亡ぼすことにもなりかねない。
米国では人種差別が激しくなり、国が分断してしまった。
この店でも分断が起ころうとしているのか。

6.店の方針が決まったところで、お互いがけんかを思い出してムカムカし始める。
店の事を優先するのはわかったが二人の問題が解決していない。
話は、ここでやっと振出しに戻る。

計画をより早くスムーズに目的を達成するために二人の問題を解決する。
この、「目的を達成する」という共通認識を持つことが大前提。
手助けはできるが二人の問題を解決できるのは私じゃなくてあなたたちだという出発点に立ってもらう。

具体的な人間関係改善策

  1. お互いの言い分を洗い出す→書き出す
  2. 考えられる原因を洗い出す→書き出す
  3. 改善策を本人含めて書き出す
  4. 期間を定めて本人が行動目標を立てる

世界的な逆境の中。
ケンカを続けるような人間が他の職場で求められるとは思えない。
誰もトラブルメーカーを採用したいとは思わない。
運良く採用されたとしても賢い会社なら、同じトラブルが起きれば辞めてほしいと思う。
そして、うち以下のもっとごたごたした人間が集まる会社に行くことになる。


今回は、私たち自身も店も善くなるチャンスをもらったと考えてほしい。

このトラブルは、自然的に発生した天変地異のような災害か?
そうではない、人間が起こした問題だ。
つまり、二人が起こしている。
見過ごしていた店の全員が加害者でもある。
お互いが謙虚に自分を反省する。
そして、行動目標に落とし込む。

人間関係を善くする共通価値→常識

人間関係のいざこざのもとをたどるとささいなコミュニケーションの行き違いが重なっていたりする。

原因の多くは、常識が欠けているところから起きる。
常識を「論語と算盤」は、
智恵と愛情と意志「智、情、意」の三つがバランスよく成長した能力と説く。

  • 知識を生かす智恵
  • 他人を思いやる愛情
  • 事を成そうという意志。

常識の完成形が渋沢先生の言う「武士道」
知情意に大和魂が宿って「武士道」になる。

武士道は、「正義」「廉直」「義侠」「敢為」「礼儀」。
これらが欠けたのが江戸時代で言えば、仇討ちにまで発展した忠臣蔵。

  • あいさつ。
  • 返事。
  • 人の話を聴く。
  • 報告、連絡、相談をする。
  • メモを取って、2度3度と聴き直さないよう心がけるなど

日常業務はすべて武士道に合致する。

人間関係がスムースな人はこれがうまい。

武士道の正義、廉直、義侠、敢為、礼儀とは

  • 正義 周りが彼には曲がったところがない公平だと認める
  • 廉直 心が子供みたいに純真だと好かれる
  • 義侠 弱いものを助ける義侠心があると感心する
  • 敢為 強い意志で邁進していると感服する
  • 礼儀 礼儀と譲り合いの精神があって年長者の友人が多い

そんな「武士道精神」あふれる営業マンがいた。
友人になってわかったことは、彼は幼少の頃より、空手道をたしなむ黒帯の実力者。
道場の師匠は、言い訳や理屈や弱音をピシャリと断ち切る。
押忍!の一言で師匠の言葉を納得できなくても鵜吞みにする。
形を会得して、初めて師匠の教えが腑に落ちる。
礼儀を重んじ、真っすぐな心で己に向き合う。
昇段を目標にコツコツ道場に通い稽古する。
彼は、空手道で「武士道」を会得した男だった。

新人に「武士道」教育がおすすめ

渋沢先生なら、新入社員の初期段階でこの常識、道徳。
「武士道」の教育をすすめる。
何も竹刀や道着を着せて鍛錬するということではない。
職場における常識を実際の事例を元に考えさせ、一通り身につかせる座学とシミュレーションだ。

渋沢が興した今や一流企業は、小冊子や映像コンテンツで一般常識の講習を行う。
一流の人材に育てるためだ。
さらに優良な企業は新入社員の時から経営者と同じ目線で業務の考え方を教える。

特に営業が主力となる会社では、常識で会社の格さえ品定めされてしまう。

王様のコート外交

例えば、初めてお会いするお客様の社長室。
社長室でコートを着たまま挨拶をする新人がいたとする。
親なら、コートぐらい脱ぎなさいとたしなめるところだ。
本人は、失礼にあたるという意識がみじんもない。
だって、まだ、体が寒いんだから、わかるでしょ?

相手が王様だったらどうだろう。
平服の王様が暖かいお部屋で迎えてくれた。

礼をわきまえるなら、生涯一番の笑顔でコートを脱ぎ、自分が最も美しく見える状態で、友達になろうとするだろう。

逆に友達になりたくなければ、逆のことをすればいい。
コートを脱がない、たったそれだけの振る舞いで嫌ってくれるかもしれない。
礼儀の欠如が相手に思ってもいない意思表示をすることになる。

常識とは相手の常識を創造する力

相手の常識と自分の常識にはギャップがある。
ギャップに気づかないのは想像力が足りない。
貧しい文化の野蛮人と評価されかねない。

「論語」の主人公である孔子は平民の出身と言われる。
王様や貴族に負けない礼儀作法を身につけたから、諸国の王様も礼で応えた。
生まれながらの貴族たちが孔子の豊かに生き抜く常識を学ぼうとした。

同じ地域で、価値観も似ていた時代は常識は、一つでした。
これからは、世界各国から、労働者、お客様、留学生いろいろな立場の人がやって来る。
今まで以上に相手の常識を推し量る想像力が重要になる。
相手の文化を理解する、想像力を備えた常識が役立つ。

Google、アマゾン、Facebookなどの第4次産業の革命者たちが常識革命もすすめている。
シェアカルチャーや無国籍性、人間性の回復。
コロナがさらに生活様式の新たな常識を生み出している。


常識の根底にあるの「武士道」。
武士道を追求する限り、相手の常識を推し量る想像力が枯渇することはない。

孔子の常識

「論語と算盤」で渋沢先生が大切だとする常識は、今ある常識とは少し違う。
時空を超える本質的な「常識」だ。

孔子は、2000年以上も前の人類の智恵を私たちに伝えている。
弟子の子貢たちが孔子の言動をもとにまとめた「論語」。
論語は、欧米の常識や道徳の根本になっているキリスト教「聖書」に並ぶベストセラーだ。

渋沢先生は、孔子の論語を「武士道」に見出し、日本人にわかりやすく教示している。

武士道というと外国を受け入れない鎖国派かのように誤解されることを渋沢先生は心配している。
その上で、武士道とは「実業道」と言い換えてもいいと断言している。
事業の道こそ武士道そのものだと。
「武士道の精神」を持って、諸外国からも尊敬される存在になれると。
士魂商才。
武士の大和魂と商売の才能。
古びない。

文化の異なる人々をまとめる

人によって、人間関係のトラブルの解決方は異なる。
子供のケンカのように「仲直りしなさい、さあ、握手して」と丁寧に解決していく人もいる。
そうして、いつか、もぐらたたき状態になる。

根元から見直さなければ、他社との差は広がるばかりだ。
根元は、同じ船に乗った店のメンバー全員がどこに向かうかを決めること。

目的地が共通の価値になる。

行く先を見失った船の乗組員たちは乱れる。
さ迷う航海でコロンブスも命を狙われた。

ヒットラー、トランプ、韓国の文氏。
みんなの共有価値を設定する手法は、多くの政治家が活用してきた。
悪用厳禁。

多国籍国家アメリカやUK、EUの政治手法を人をまとめる観点でも観る。
あらゆる事象から学ぶのが孔子流で、渋沢栄一流だ。

パブリックリレーションズとは「集合知」人と人が交流する価値づくり

「リレーション」とは関係、交流。
「生き物のような集合知」です。

例えば、北海道出身の人が名古屋へ転勤。
偶然入った名古屋のクラブでいい選曲をしてくれるDJに「今の曲は?」なんて、話し始めてるうちに中学校が同じだったら、びっくりします。
懐かしいい先生の話で嬉しくなります。
同じ中学校の思い出が「集合知」でそこから生き物のように二人の関係が育ちます。
「リレーション作り」とは、共有できる価値を育てる事です。
飲食店そのものが「リレーション作り」のメディアです。

PRプランナーとしての経歴

PRプランナーとしてもたくさん面白い仕事をさせていただいてきました。

PRプランナーとしての素養に関わる略歴です。

学生時代のNHK報道局のアルバイト(日常報道、選対本部、航空機墜落事故や地震などの特設本部、それら報道に関わる雑務全般)
CM、プレゼンや教育用VPなどの映像制作
広告代理店業 マーケティングとCM制作
イベント企画で起業 フリーペーパー仕様の広告媒体
          映画販促、交流パーティ実施
飲食店企業の営業企画(販促、パブリシティ、営業推進)
レストラン経営
飲食店ビル(ススキノ地区に飲食店ビル5棟、ホテルを3館所有)の情報企画
北海道全域の市町村、地域情報を発信
地方自治体の首長と交流パイプを作る など

以上、今回は、私のPRプランナーの履歴をまとめました。

一般社員以上店長未満「論語と算盤」名ばかり管理職から脱出!

自分は自分自身で守れ

似たお店が増えました。
スタッフも似たり寄ったり。
可もなく不可もなく。

飲食店の質を上げる標準化セオリーが店長不在でも運営できる店を作りました。
働いている人間は、毎日毎日同じ繰り返しで飽き飽き。
店長未満のベテラン社員は半分店長、半分一般社員の気分で先行きに不安を感じています。

それでも自動的にお客様が来て、給与が出るうちはよかった。
ウイルス感染対策などの逆境で客足が遠のくと本当にこの店は、もっと言うと飲食業は、世の中に必要とされているのかと不安になります。

本社も上司も何もしてくれないとあきらめていませんか?

言われるまま、思考停止。
まるで、奴隷だなと自虐したくなります。

結論から言います。
本社も本部も上司もあてにするな。
自分は自分自身で守れ。

奴隷船から抜け出すには力が必要です。
腕力?誰かとたくらんで抜け出す?
逃げ出せば、奴隷として一生逃げ続けるはめにも。

奴隷生活から抜け出す方法が例えば「論語と算盤」渋沢栄一講演録にあります。

  1. 「志」。
  2. 正しいやり方で売上と利益を生む方法。
  3. 利益をもたらすお客様との信頼関係の作り方。

「正しく稼ぐ力」と「お客様」があなたの財産になります。

力をつけて会社を変革するか。
あなたの力をより発揮できる船に移りましょう。

店長未満の悩み

  • 人材育成、情報収集、商品開発などの時間も予算がない。
  • 存在意義、存在価値まで考えられない。
  • 企業理念やミッションも現実と違いすぎてぴんとこない。
  • 自分のたった一つ一回の人生がっこれでいいのか不安。

実は、これらは、私自身の悩みでもありました。

この20年以上、約35店舗18業態の飲食店にスタッフや店長、営業企画統括、経営者の立場で携たずさわってきました。


短期アルバイト以外は、全て正社員として勤務。
円満退社、10年経営した店舗も焦つき負債ゼロで廃業しています。

たずさわった業種業態をざっと上げます。

  • カフェレストラン 朝食、ランチ、ディナーの3業態
  • クラブ(DJバー) 坂本龍一教授もいらっしゃいましたよ!
  • アメリカン・ダイナー 「ビバリーヒルズ青春白書」に出てくる業態です。
  • オステリア(イタリア居酒屋) 東京ではカプリチョーザが全盛でした。
  • リストランテ(イタリアストラン) JAZZピアニスト大江千里さん、GRAYさんご来店が自慢です。
  • 大衆居酒屋 30席から460席の店舗を経験
  • 天ぷらレストラン トヨタ自動車博物館そばショッピングモール街
  • エル・ブジ風カジュアルパフォーマンスレストラン 液体窒素を使ったりする料理です。
  • 肉バル トロトロの花畑農場の焼きチーズをかけます。
  • 三毛作のレストランバー プロントです。
  • ワインバー 新橋の繁盛店です。
  • 焼肉屋 厨房ではブラジル人がラテン音楽でノリノリで肉を切ってました。
  • 昭和のテーマ居酒屋 昭和歌謡が流れます。
  • ホテルのレストラン 逆張り好きのカリスマオーナ。

などです。

幸運なことに行列ができる店も作ることもできました。

幸運というのは、事業にタイミングが欠かせません。
成功できた店は、店内のインテリアから空調を含めた

  • 内装外装設備などハードの適正な質
  • 営業
  • 商品
  • 販売促進
  • パブリックリレーションズ

それぞれの責任者がタイミングよく、同じ方向に向かっていました。

店長未満に欠けているビジョン

店長未満の社員は、店長になって、店を良くしたい。
あるいは、他店へ移って待遇を上げたいと望んでいます。

相談を受けることがあります。
その際は、考え方の方向だけ修正してあげます。そして、給与水準が高く、倫理観も上等な優良外食企業が幹部研修に採用してきた教本や映像などのコンテンツを薦めています。

自ら学び動き始めるのがスタート地点だと考えています。

ところが、買う、手元に置くまではするのですが読むまでに至らない。
成長したかなと楽しみに「読んだ?」と感想を聞いても、いつまでたっても、日常業務を理由に実行しない。
ちょっとした飲食業の特集番組も興味は示すが観るまでに至らない。
自分の意志で、身銭を切って購入していながらです。

はじめは、怠けものだとあきらめていたました。
ところが彼らに大きな重要部分が抜け落ちていることに気づきました。


それは、飲食業でこのような人物になりたい、このようなスタッフを育てたいという「自らの志」です。

自分がどうなりたい、自分がどうしたいという自分の志が抜け落ちているように感じます。
「自分のビジョン」です。


本部が上司が同僚については、堂々と正論を主張できます。ところが自分の生き方が抜け落ちているように感じます。
会社や上司の顔色を見て生きた会社員の終身雇用、年功序列の悪しき習慣が他責で考える文化を作ってきたのかもしれません。

自らのビジョンから広がること

具体的には、今年、採用した学生アルバイトがいたとします。

3年後の卒業して就職していく時には、こんな人材に育て上げ、送り出してあげたいというビジョンです。


就職先でどこでアルバイトしてきたの?と上司を感心させられたら、こっちのものです。
店長冥利に尽きます。

脱線しますが「日本マクドナルド」で学んだスタッフには、現場感覚で、感心させられることが何度かありました。

学生アルバイトへの愛情

学生の親なら、子供の成長を当然願っています。アルバイト先で過ごす時間は、親と相対している時間よりも長いもしれません。学校の先生よりも影響力のある大人である場合もあるでしょう。

学生の意欲がお客様との絆になる

学生の将来の就職先の希望があるなら、指導方法も通常営業に絡めて活用できます。
就職したい業種がまだ決まっていないなら、いろいろな業種のお客様と仲良くなって、業界のことを聴いてごらんとアドバイスもできます。

お客様も前途有望な若者に助言することを楽しむはずです。
これこそが地域に根付く店づくりにも繋がっていきます。

ビジョンが明確だと、アルバイト育成一つの事柄さえ、店全体のビジョンを実像化する行動に広がっていきます。

店長未満社員の現実

ところが現実は、自分の1年後さえ、ビジョンできずに日常に追われています。


まじめな社員ほど自分個人の幸せを悪だとまでは思っていないにしても自己犠牲の思考停止で指示通り業務をこなし、アルバイトの幸せにまで思いが至りません。

せいぜい「今日は、ごくろうさん。明日もよろしくね」とねぎらうのが精一杯でしょう。

店を良くしたい、勉強したい気持ちはあるが日々の発注業務や本部への提出書類やシフトの調整など、日常業務に追われ、学生啓発どころか自分の幸せさえ考えられなくなってしまいます。

改めて店長未満社員の悩み

  1. 勉強する時間がない
  2. 日々の業務の疲れでモチベーションが持続しない
  3. 会社や本部が何も支援してくれない

悩みの解決法

  1. 今日からでも現場に生かせる実務に即した情報を短時間で吸収する。
  2. 自ら売上利益を上げ、給与や時給を上げる自責主義と実力をつける。
  3. 志を立て、学ぶ習慣をつける。

このコンテンツの目標

  1. 店長マネージャーの素養を育てるコンテンツの実践要約
  2. 店長マネージャー実務の実践
  3. パブリック・リレーションの実践

いい店を作っていく事が人間の質、品格を高めます。
さて、いい店とは何か。

お客様の気持ちから見た3つのいい店です。

  1. 毎日でも通いたくなる店
  2. 大切な人を連れて行きたい店
  3. 並んででも入りたい店

誰も手伝ってくれなくても
自分の力で立ち上がり
周りを巻き込み
独自の文化を作っていく。

新しいレストラン・カルチャーを創る同志を募っています。共に学んでいきましょう。

10年経って、同じ学びの時を過ごした今を思い出し
思いを次の世代に引き継いでいけるように。
新しいレストラン・カルチャーを作る学びのコンテンツ開講です。

このコンテンツ開講の初心表明とさせていただきます。

渋沢栄一の人事「論語と算盤」飲食店Public Relations講座 徳川家康の采配学

渋沢栄一は徳川家康の適材適所の人事の工夫に学びながら人事の目的には「まったく見習うことがない」としています。

徳川家康の人事

  • 関東 忠義の厚い家臣たちが関東を警護
  • 主要地域 徳川御三家が東国、東海、大坂を掌握
  • 朝 廷 徳川四天王の1人、井伊直正が京都圏を守る
  • 各地方 要所に忠義の厚い家臣で外様を押さえる

徳川人事の目的

自分の派閥で政治、経済、社会の大きな権力を握る。
他の派閥の成長を阻止する。

渋沢栄一の人事

適材適所の工夫は家康の知恵に学ぶ

渋沢人事の目的 

  • 派閥ではなくて国家社会に貢献してもらう
  • 渋沢のもとで世界が狭いなら独立して成果を上げてもらう
  • お互い信頼しあい平等な立場で成果を上げる

家康に見習うことはなし

飲食店の事例

飲食店も起業時代は腹心の部下と昼夜議論をし、店を作り、会社を発展させます。
家康の戦国時代と同じく、さまざまな困難があります。
BSE、鳥インフルエンザ、震災、新型コロナ感染などの逆境や市場環境の変化。

サービス残業あたりまえの創業時の行軍の中で信頼を得た忠臣が幹部となり、地域や全国制覇を目指して人事采配がされます。

徳川家康の場合は、徳川家が永年にわたり権力を手にするための人事でした。

鎖国していますから、他国との競争は思考停止です。
そして、開国。

渋沢栄一は、渋沢個人よりも世界と競いあえる日本国づくりの人事采配でした。
渋沢には競争が人類を発展させるという信念もあります。
世界の国々が競争することで世界中の人々が幸せになることを願っていました。

「人間は平等であるべきだ」という強い信念は、商業専門学校、女子教育、日本赤十字の設立、養護院への援助など多くの社会事業に結びついています。

町の飲食店という小さな商売も、年間にすると延べ集客数が1万人を超えます。
何万人という人々と関わりは、影響を与え、与えられる商売です。

飲食店に配属された一人一人の従業員が徳川家のように「将軍の顔色」を伺って仕事をしているのか、渋沢のように日本国を繫栄させて、他の国まで豊かにしてやろうと「大志」を持って取り組んでいるのか。

毎日の習慣が「意志を鍛錬」して、その人を作ります。
経営者やマネージャーの意志が店の習慣を作ります。
店の習慣がスタッフの人格を育てます。

徳川家康タイプの事例

誕生祝い

お客様の誕生日にサプライズでスパークリングサービスやデザートのサービスがあります。
居合わせたお客様も一緒になって祝福してくれると嬉しいものです。
飲食店ならではのとても素晴らしいイベントです。

同じ時間帯に複数の誕生日が重なることがあります。
客室が大きな部屋の場合は、全員一緒にお祝いしてあげると盛り上がります。
しかし、その日の流れによって、個別に対応せざる負えません。

そんな時にこんな事が起こります。
Aさん、Bさん、Cさんのお祝いの熱に差が出てしまうのです。

  • Aさんは、常連。
  • Bさんは、初見のお客様。
  • Cさんは、お店の従業員。

Aさんには花束やスタッフからのメッセージカードが贈られ
Cさんには従業員総出でキッチンからシェフまで飛び出して満面の笑顔でお祝いしています。
Bさんは、形だけです。

Bさんが知ってしまうと多分、差を感じます。
幹事役の友人は、この店で誕生会をやったことを後悔しているかもしれません。
見ている居合わせたお客様も違和感を感じる場合もあるでしょう。
初見のお客様Cさんは、二度と来ないかもしれません。
誕生日の嫌な思い出は忘れられないものです。

店の社長が来店

店の上司が来店して、従業員が挨拶に行くのは礼儀として当然です。
そんなわけで、お忍びでリサーチに来ていたのに身バレしてしまうことがあります。
他のお客様に店の人だとわかってしまっています。
お客様にどうやら社長が来たらしいと注目されている状態であれやこれやと料理や飲物をサービスする場合があります。

自分の売り込みの場合もありますし、試作品や新商品を提供する場合もあります。
社長としては最終的な原価を合わせてくれればいいことで、身銭を少しでも身銭を切らなくて済ませられるのは助かります。

社長が試作品を食べていたとしても今日の予算を気にしながら、食べているお客さんにしてみれば、羨ましい立場です。
「休みの日に出てきて店の点検か、店舗管理と商品開発も大変だな」
と思ってくれるのは同業者だけです。

外部のお客様は「どうせお金を払っていかないんだろうな。
飲食店の社長が自分の店の商品をタダで食べるのはしょうがないか、所詮は飲食業だから」と業界への蔑んだ気持ちが芽生えるかもしれません。

社長も仕事ですから、当然だと他のお客様を気遣うそぶりもありません。

一方、こんな気さくな社長もいらっしゃいます。
そばに居合わせたお客様に「これ食べてみてください。まだ、手をつけてないですから」と新商品をごちそうするのです。
全額、ご馳走するわけではありません。
新商品をお客様に食べていただき直に自分の目と耳でお客様の反応を見るのです。
「いつもありがとうございます」と名刺も渡します。
店長を呼んで、「こいつをよろしく頼みます。指導してやってください」なんて、従業員とお客さんを自分をネタに繋げます。
万事が商売、戦場の心構えです。

お客様は、あの店のオーナーに会ったと口コミします。
しかも好印象で。
芸能人に偶然出会ってしまった一般人のような気持ちです。

ある飲食店での実例です。
偶然、その店の社長さんと隣り合わせたことがあります。
どんな経緯でそんな事になったのかは忘れましたが社長が自ら中国茶を淹れていただきました。
新しい食文化を教えていただいた面白さと社長のお人柄を感じさせた記憶として残っています。

そうした行動がとれる経営陣は、どんな飲食店、どんな場所でも同じことをやっています。
葬式でも、結婚式でも自分自身が店を代弁するメディアであることを知っています。

お店の存在意義、経営の目的も明確です。
従業員も社長のやり方を見習います。
どんな時もお客様ファーストが習慣化します。
社長であってもお客様を優先することが習慣化します。

真逆もあります。

従業員がオーナーの意向よりも店長や料理長の顔色を伺うパターンです。
オーナーが料理人に辞められたら困ると店長や料理長に気を遣いまくります。

スタッフは、お客様よりも店長や料理長の意向を優先します。
お客様のお願い事をアルバイトが言い出せません。

賢いアルバイトは、お客様の意向を店長に伝えずにその場でお断りするでしょう。
時給は変わらないのに店長、料理長とお客様の間に立って嫌な思いをしたくありません。

  • 徳川家康の人事
  • 渋沢栄一の人事

事業は、結果がすべてです。
どちらが正しいかという話ではありません。


どちらの会社を選ぶかという私たちの選択です。