孔子曰く
「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず」
孔子「論語」岩波文庫より
「知っている」者よりも「好きになった」者よりも「楽しむ」者が最高だ!
「論語と算盤」要点
- 楽しむためにすべての仕事に趣味を持つ。
- 仕事に「理想と欲望」を込める。
- 仕事を好きになり楽しむ。
- 人としての趣味を持つ。
- 一日をただ食べて寝る人生は「肉の塊」も同じ。
- 体が動かなくなっても世の中の役に立とうとする心があれば命のある存在になる。
- 「まだ生きていたのか」と思われる人は肉の塊。
「論語と算盤」が150年以上も渡り読み継がれています。
孔子の「論語」に至っては、2,500年以上です。
体さえなくなっても心があれば、命ある存在になることを渋沢栄一は気づいていたでしょう。
飲食店は「しあわせ!」の歓声のために
飲食の楽しみに料理の美味しさや飲物の美味しさがあります。
お客様から「しあわせ!」なんて言葉が出た時は、シェフも飲物をセレクトしたサービス担当まで嬉しくなります。
「しあわせ!」や「楽しい」は、お客様からの最高の賛辞です。
料理と飲物、単体の美味しさに加えて、「料理と飲物」の組み合わせの楽しさもあります。
ざっくりした一般的な組み合わせでは、唐揚げにビール、刺身に日本酒、牛肉ステーキにワインといった組み合わせです。
一般的と前置きしたのは、唐揚げにハイボール、刺身には焼酎、牛肉ステーキにはライムをキュッと絞ったジントニックが最高という場合もあります。
お客様へのおすすめが画一化している飲食店がほとんどです、
アルバイト主体のサービスオペレーションが理由にあげられますがサービスパーソンに「食文化」の観点から、料理やお酒についての学びの機会を与えていないことがほとんどです。
ソムリエや酒匠が常駐する店舗の場合は、アルバイトスタッフも日常的に料理と飲物のマリアージュ(相性)に触れることができます。
アドバイザー的なスタッフが周りにいない場合は、趣味として、食べ合わせ、飲み合わせを実体験しましょう。
飲食店のおすすめは大きく3つあります。
- 季節性や話題性、新規性のおすすめ
- お客様の嗜好性やお客様のその日の気分によるおすすめ
- お店の定番のおすすめ
おすすめ力を磨く方法
- 時事ニュースをつかむ
- 街のニュースを体感する
- 生産地と働く
飲食の流行は、ファッションモードと相性がいい
おしゃれして、お出かけして、飲食をする。
3点セットで利用されることが多い飲食店は、ファッションモードと持ちつ持たれつの関係です。
ファッションとお出かけのの動きを予測しながら、半歩先を提案していくイメージです。
日頃より、ウインドショッピング、新しい商業施設、新業態のお店を訪ね歩きます。
街歩きは感性を育てます。
海外旅行が困難な今は、テレビの海外力特集でも仮想体験します。
NHK世界街歩きがおすすめです。
街の人の素顔に触れる旅に出かけられます。
NHK世界街歩き
https://www6.nhk.or.jp/sekaimachi/archives/arukikata.html?fid=171024
六本木スクエア、表参道ヒルズ、GINZA SIX、伊勢丹新宿店、TOKYU PLAZA OMOTESANDO HARAJUKU、丸の内のKITTE。
宝の情報がゴロゴロ転がっています。
斬新な店頭メニュー、垣間見える職人さんのパフォーマンス、外国人スタッフの笑顔。
飲食店のソフトやハードばかりではなく、施設自体の空気を五感で感じることが感性をアップデートさせます。
季節の変化と同様に、時代の変化やトレンドの切り替わりを五感で感じることか大事な最終決断の際に生きてきます。
施設に流れる「音」。
音の質感。
音と雑踏の喧騒がどのように融合してどんな雰囲気を作り出している。
飲食業は、刻々と変化する場の空気をプロデュースします。
時には、パターンを崩すことでより盛り上がる場面にタイミングよく切り込んでいく即決も必要になります。
安藤忠雄氏が設計した表参道ヒルズは、音も設計されています。
サウンドスケープ。
音の設計です。
吹き抜けの天井に設置されたムービングスピーカーが揺れ、音を降り注ぎます。
エリアごとにも音響設備。
飲食店でもエリアごとに音の聴こえ方が変わります。
その日のBGM選曲。
BGMとお客様のお喋りの調和。
他人の施設に身を置くと自店舗の課題が見えてきます。
生産者と働く
生産者を1年に3~4回訪ねます。
農家なら、手伝わせてもらいましょう。
生産加工なら、1日でもいいのでと頼み込み、工場で働きましょう。
北海道のワイナリーで草むしりを手伝ったことがあります。
雑草をむしり、傷んだ葡萄を取り除きます。
もちろん、おすすめする時の熱量が違ってきます。
美味しい、不味いの問題ではありません。
たった1日2日でも自分が汗を流し、手掛けた商品には語り尽くせない愛情が宿ります。