出発点は、奇跡の「縁」を共有すること
人間関係が悪い店があります。
料理長と店長、店長と一般社員、社員とアルバイト、社員同士など職位や立場を超えて馬が合わない。
どちらも一生懸命なんだけれども食い違う。
小さな思い違いや誤解ややり方の違いが積み重なりある日、爆発します。
その職場を辞めたところで似たようなトラブルをまた起こす。
トラブルメーカーの誕生です。
いつもトラブルを起こす、巻き込まれる自覚のある方は、自己点検しましょう。
「自分が起こした逆境」です。
トラブルメーカーの特徴は
- 言い方が失礼と相手に感じさせる
- 感情をむき出しにすることがある
- 突然怒り出す
- 自分勝手に行動することがある
- 気分屋
- 返事をしない事がある
- 相手の話を聞いていない
マネージャーは、人もいない、人間的にはいい人だ、一生懸命に働いてくれているなど、様々な理由でトラブルを抱えながら、やり過ごしていきます。
マネージャー自身が特徴にあてはまる場合は、人の定着率が悪い。
マネージャーの上の管理職がトラブルを処理しながらやりすごします。
巻き込まれる管理職の特徴は
- 小さな問題を見てみぬふりをする
- 一般的な道徳や倫理観に欠ける
- あきらかな間違いを見つけても指導しない
- スタッフと良好な人間関係を築いていない
- 指示や指導が一方的で相手の意見をきかない
- 朝礼やミーティングが儀礼的
そして、最も大きな特徴が
- 会社や店のビジョンをスタッフと全員と共有していない
などです。
店のメンバーは、生まれてきた環境も違う人たちが何かの縁で集まっています。
一日8時間以上顔を付きあわせて、時には家族のこと、今日会った出来事など他愛のない話もします。
人間関係を善くするには、どんな「縁」で集まったのかを店長、マネージャーが明示し、浸透させ、共有していく事です。
悲しい思い出を告白します。
私が実際に経験した一日です。
ランチタイムもピークの時、アルバイトスタッフが電話を受けてくれました。
「店長、Aさんから電話です」と受け取った受話器を肩に挟むと両手には、グラスとアイスペールを持って、ランチのアフタードリンクに氷を詰めます。
Aさんは最近辞めたばかりのY料理長の彼女です。
Y料理長は辞めてもよくお店に顔を出していました。
お金を貯めて、彼女と店を持つんだと一度はやってみたかったという高収入の営業の仕事をはじめていました。
Y料理長は、今日、営業先で出会ったお客さんのこと、初めての業種でワクワクしている出来事、アンケートに書かれたお客様から自分への感謝のメッセージなどを仕事が終わっては、自転車をこいで報告しに来てくれていました。
Yがここに来ているとでも思ったのでしょうか。
この忙しい時に迷惑です。
BGMが鳴り響き、カラカラと製氷機の氷をグラスに詰めていますから、ななかなか声が聴き取りにくい。
電話の向こうで、Aさんがおかしな呼吸をしています。
声をふり絞るようにして、しゃべるというより、声を出しています。
おや、様子がおかしいぞ。
やっと、ふり絞った言葉は、「Yが死んだと」という声でした。
「トラックの下に巻き込まれてショック死した」と。
Aさんは、一通り話し終えると、後は泣いて言葉になりません。
何のドリンクを作っていたか消えました。
電話を切ると店のGMがどこか遠くの音楽に聴こえて。
心の中にぽっかりと真空ができて。
夜、料理長に会いに行きました。
身長が180センチ以上あるY料理長は、生きてるように眠っていました。
話しかけても応えません。
触れると冷たい、鉄のように冷たくなっていました。
20代後半の誕生日は、もうすぐでした。
マネージャーは店のビジョンを明確にする
もしも、働いている誰かが交通事故で突然亡くなったら。
私たちが一緒に働いているメンバーは、何かの奇跡でここにいるもかもしれません。
誰も不幸になってなりたくない。
日々の人間関係のいざこざで神経をすり減らすように生きていきたくない。
縁あって、一つの店にいる私たちがすごす一瞬一瞬が奇跡の時の積み重ねだというのは言いすぎでしょうか。
宗教的な話をするつもりはありません。
マネージャーは、私たちの「縁」を明示して、浸透させて、共有する責任があります。
「縁」とは、店の存在意義と使命です。
理念とビジョンとミッションです。
本部や会社なんて関係ありません。
あなたがマネージャーなら、あなたが作って明示しなければなりません。
もちろん、上司と相談する。
上司に承認していただくという会社のルールを守り、作ります。
原案は、マネージャーが作り、スタッフ全員で決めます。
いざ、原案を作ろうと座っても、一般的な言葉しか思い浮かばない時があります。
原因は、
- 現状に問題意識が足りない。
- 情報が足りない。
- 運営を本部や会社任せにしてきた。
- 店を改善することを主体的考えてこなかった。
- 事業とは何か経営者の視点が足りない。
などが上げられます。
店のマネージャーは小さな規模であっても経営者です。
経営者ほど財務的な責任はありませんがスタッフに対しては、経営者以上に責任の重い経営者です。
店のビジョンを決めるは、まず、経営者の視点が必要です。
明治の実業家「論語と算盤」がいまだに読み継がれ、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で描かれるます。
日本がアントレプレナー、起業家の精神を引き継いできたということです。
論語という人間の心を幸せにする道徳。
人間の物質的な暮らしを豊かにするお金を稼ぐ商売。
両方の考え方を学び、店のビジョンに生かしましょう。
成長によってビジョンも成長させてもいい。
期限を1か月として店舗ビジョン策定の計画を立てます。
店舗ビジョン策定計画
原案を提示
- ビジョン策定の目的
- 店舗理念(店の存在意義)
- 店舗ビジョン(理想の姿を言語化、ドラマのワンシーンのようにビジュアル化)
- 店舗の使命(どのような事を実現していくのか)
- 行動目標(具体的な行動を言語化)
- 年間の売上目標、利益率目標
- 半期の売上、利益率目標
- 来月の売上、利益率目標
ビジョン策定のスケジュール
- 上司に店舗ビジョンを策定することを相談し承認をいただく
- 社員スタッフ全員が1,2,3,4の案を提出
- プレゼンミーティング
- 検討ミーティング
- マネージャーが最終決断して最終案作成
- 上司に報告
- 社員にプレゼン
- 修正して上司に報告
- 最終決定
- アルバイトスタッフへの落とし込みの情報共有
- アルバイトスタッフへ落とし込み
- スタッフの共有スペースに貼りだす
- ミーティングで唱和するなど浸透共有の具体的な方法を決めて実行する
上司への承認相談のポイント
- 会社の企業理念を具体化した店舗の行動目標だとい考えていただく
- 現状、店にある様々な課題を解決するための行動指針である
- 会社の企業理念などに沿った形で策定する
- 売上、利益を獲得の方策である
- スタッフの人間関係をまとめる方策である
- 店舗の社員全員で作る方策である
- スタッフ全員で店舗の行動目標を実践して、会社の企業理念を実現する
会社の理念があるから、店で独自に作ってはいけない認められなかった場合
- 「店のビジョン」などの表現を変える。
- 今期の方針や目指す理想像など。
- ネーミングはなんでもいい、全員が納得した価値を共有することが大事。
- そして、会社の企業理念を具現化していく。