愛情のある飲食店の店長クラスは、こんな不満をもらします。
- 飲食業のアルバイトの時給を上げてやりたい。
- 上司や本部にかけあったが一向に取り合ってくれない。
- 業務上の技能資格もとったスタッフの給与に何も反映してくれない。
時給や給料の原資がわかっているはずなのに収入が上がらないと嘆きます。
売上から抽出する人件費予算が原資です。
金融機関や仕入れメーカーとの交渉の結果決まった予算は行動原則の根本になります。
公式に決まった人件費枠を時給アップでふくらますことはできません。
人件費の枠が決まっているなら、一生時給も年収も上がらないのか?
そんなわけはありません。
そう、嘆くのは、飲食業界にありがちな悪い習慣からきています。
「論語と算盤」実用解釈 飲食業の悪い習慣
- 待ちの営業
- ゼロベースから売上を獲得していった経験が少ない。
- 世間の多くの営業パーソンが毎月ゼロから既存顧客と新規顧客獲得枠を分けて売上を積み上げます
- 欲が少ない
- 同じ年齢の中堅ビジネスパーソンがボーナスをもらって、年収を年々上げていっても、飲食業は特殊だからとか、飲食業は年収アップは無理と頭から考えてしまう。
- 店の財務状況を知らない
- 家賃、月々のリース料の合計、水光熱費の季節による推移、そして、残った利益と税金の額など、人件費を取り囲むすべての経費をコントロールする意識が無い。
- 労働環境が悪い
- 職場での喫煙による非喫煙者への被害をはじめとした法令順守の意識が低い。
- 上場している会社でも労務環境が顕在化して、それが当たり前といった意識が習慣化している。
では、悪い習慣を断ち切る
「論語と算盤」必須事項
論語要素
- なりたい人格を明確にする
- 身につけたい技能能力を明確にする
- 実現したい店の理想の姿を明確にする
算盤要素
- 今年獲得したい年収、来年獲得したい年収額
- 夏のボーナス、冬のボーナス、定期のインセンティブで獲得したい金額
具体的な給与、アルバイト自給の上げ方
売上人件費に年収や時給アップ額を12等分して上乗せする。
その際、売上に対する人件費率の構成比率は変えない。
本部に売上予算と売上獲得の戦略、戦術をコミットメントする。
コミットメントする風土や制度になっていない場合
予め、直属の上司と相談し、実績を上げた時点で本部に交渉してもらう内諾をいただく。
上方修正した売上予算表は店舗のメンバーだけが共有する内輪予算とする。
実質の行動基盤にする。
交渉が不可能な場合は、その6か月~1年の予算達成戦略の実績を持ち、他社への転職活動をはじめる。
時給や年収を上げないことで、常時若い人材を流動させるという人員戦略もあります。
自分の能力を上げて、その会社の中枢に参加するか、他社へ転職して実力を認められるかです。
転職活動の方法
- 実力主義の風土を持つ会社を検索する
- 比較検討して1~3社ほどに絞り込む
- 優先順位が上位の会社からアタックする。
詳しくは別な章で
人件費の考え方
大事なのは人件費の構成比率であって、額ではありません。
業態や規模によっても比率は多少前後しますが、人件費率は28%前後。
月収手取り30万なら会社負担分と本人負担分の福利厚生費を加算して約35万。
35万÷28%でざっくり125万円の売上を自分の実績で立てることになります。
収入額によって税率も変わり、交通費などもあるのでざっくりした数字です。
アルバイトの貢献度を数値化、定性化する
アルバイトの業務が直接売上に結びついていない場合も多くて、時給を上げる根拠を提示することが難しい場合もあります。
例えば、フロントの配席業務は回転率や客単価に影響します。
計数を入力したり、伝票を整理する事務は店長や社員の空き時間を生み、商品開発や次回の販売促進プランをたてることに結びつきます。
清掃業務は店舗の商品磨きですから、最も大事なことで売上に結びついていないわけがありません。
人事評価制度を再定義する
営業と違って、直接売上に結びついていないように見える業務も数値化と定性化して評価するのがチェーン経営の理論でした。
でしたと言うのは、最近、人事評価システムが評価のための評価になってしまって一向に売上に結び付いていない事象が起こっています。
評価する社員や上司が評価制度も目的を理解していない誤解から生じる「評価制度=無駄な業務が一つ増えた現象」です。
最も多くなるのが「コレできていない」減点評価です。
評価の目的は何でしょう。
従業員の時給アップや年収アップへの意欲を高める。
給与アップを実現するための会社への提案書です。
スタッフのモチベーションを落す評価制度ならやらないほうがいい。
評価制度でモチベーションが上がらない場合は、その理由を考える必要があります。
評価制度でモチベーションが上がらない理由
繰り返しになりますがスタッフ自身に「論語と算盤」の習慣がないからです。
論語と算盤の習慣とは前出の
「このような人生を生きていきたい」という論語の側面
「時給を年収を上げる」という算盤の側面です。
「論語と算盤」要約
習慣は普段からの振る舞いが積み重なって染みつく
習慣の影響
心の動き
人格
良い習慣も悪い習慣も他人に感染する
悪い習慣→悪人
善い習慣→善人
習慣は少年時代染みつく
少年時代のよい習慣は個性に育つ
渋沢栄一の事例
青年時代に家出して流浪→気ままな生活→悪い癖が抜けなくて苦労
結論
「自分に打ち克つ」心得を持って気を引き締める
転職アタック方法
- ウエブ情報などで募集要項を確認する
- 電話して、面談を希望する。
- 種類送付には、既定の履歴書、職務経歴書のほかに、相手先の会社で実績を上げる提案書を送付する。
転職先の会社でコミットメントしたい「論語と算盤」
論語
- スタッフのまとめ方
- 朝礼、定期ミーティング、月次ミーティングで醸成したい文化と売上の積み上げ
- スタッフもモチベーションアップの方法
算盤
売上予算の積み上げ方 日時、週次、月次
提案書とは
転職の提案書の場合は、信頼関係が何も無いので希望年収は書かない。
履歴書の希望年収欄にもできれば希望年収は書かない。
理由は、希望年収を提示して、給料の4倍の売上実績を上げようという考え方は、飲食業では稀なため。
社長には理解できても中小の窓口ではビッグマウスだと一蹴され理解されないことも。
逆に自分たちの既得権を侵害されるのではと書類選考で落される可能性もあります。
提案書の社長プレゼンが終了した段階が希望年収を伝えるタイミングです。
とは、言っても具体的な金額は聞かれてから答えます。
一貫して、転職希望の理由は
- 「実績を上げて年収を上げる」
- 「家族を幸せにする」
- 「一緒に働く仲間を幸せにする」
そして、幸せになれる可能性に満ちている自分たちがあるからこそ「お客様やステークホルダーを幸せにする」考え方を習慣化します。