価値のある飲食店は、存在そのものがメディア。
人と人を繋ぐ媒体です。
飲食店の価値は
人の心が交流する。
人の感情を動かします。
ゼロベースで販促を組み直す
機能的にお客様が休憩したり、昼ご飯や夕飯を食べられる装置であればいい。
飲食店を機能装置と設計している職場であっても、人間が働いている場合は、参考になるポイントもあります。
ぜひ、最後まで確認していってください。
機能装置として成功している飲食店がさらに町になくてはならない存在になります。
どんな業態の飲食店でもお客様に必要とされなければ商売が成り立ちません。
地域になくてはならない価値を作るなら、今すぐ次のことを止めてください。
- クーポンを中止する。
- チラシの折込やポスティングを中止する。
- ポイントカードを中止する。
限られた資源を集中する
私の経験では、繁盛店の宣伝広告予算は、売上の4%前後。
ざっくり、月商800万前後、年商1億円の店なら、宣伝広告費400万円。
月次にすると30万円ほどですが年間支出だと結構な予算です。
3店舗あれば、1,200万円にもなります。
1店舗400万円の広告宣伝予算の半分ちかくをクーポン媒体に支出する店があります。
具体的にはぐるなびやホットペッパーです。
残りが仮に200万円だとかなり窮屈な予算になります。
細かく、チラシやクーポンや周年イベントに支出していくという、広告予算ありきのロジックになりがちです。
仮に400万円という予算があるなら1円たりとも無駄にはできません。
まず、広告宣伝費の予算配分をゼロベースにリセットします。
上記の販促ツールは、印刷物、ウエブサイトで展開されてきました。
販売促進、セールスプロモーションの武器として設計されたツールです。
お客様にお店の存在を伝え、集客を促し、お店までなんとか連れてきて飲食をしていただく手段として、活用されてきました。
誰もが活用し、飲食店とのミスマッチもお客様に経験させました。
地雷を踏んで後悔したお客さんは、用心深くなっています。
用心深くなっていた時代は、まだよかった。
今は、地雷を避けて通るのが普通です。
「知らないあなたが損をする」はホスピタリィ業か?
一つ、クーポンのデメリットを上げます。
クーポンの存在を知らなかったお客さんが損をして、クーポンを上手に使うお客さんが得をする。
それがあたり前という認識が店で働く従業員の常識を狂わせます。
「知らないあなたが悪い」という常識を従業員は365日すり込まれることになります。
お客様の心もケアするホスピタリィ業と言われる飲食業が聞いてあきれます。
車のディラーと交渉してみましょう。
優秀な営業マンは、なんらかの形で公開されている全てのプレミアムを付けてくれます。
お客さんは、その真っすぐさに信頼を置いて、最終決断をします。
車と飲食店の単価が違うからでしょうか。
地域で商売するディーラーは、2世代、3世代にわたるお客様を持っています。
名刺に一言書いて、お客様を優待することがあります。
それは、昔からある特別扱いです。
来てくれたんですねという人の交流、感謝の気持ちです。
クーポンとは全く別のものです。
クーポンでの差別化がお店の価値を高めることにつながっていません。
今時、クーポンを使うのは特別な事ではないじゃない
公式データーではありませんが、現場感覚で全体の6割ほどがクーポンを活用する客層です。
残りの4割は、その飲食店のクーポンを知らなかったり、忘れていた層。
クーポンを使う習慣が無い層です。
テレビ番組の賞金は番組の価値を上げない
いったん、別な業界に目を向けます。
視聴者プレゼントとして賞金をかけているテレビ番組があります。
1万円欲しさにテレビのクイズに答える。
ささやかな幸せを視聴者に届ける真心でしょうが本来の番組の価値づくりとは無関係です。
ささやかな幸せを届けるのが番組のテーマだとしたら、大きな幸せを届ける番組に負けます。
全体の価値が同等なら、100万円の賞金をかける番組の方が視聴率が上がります。
さらに1,000万、一億円ときりがありません。
一万円位の賞金で目くじらを立てることは無いかもしれません。
ところがインターネットでは、賞金どころか視聴者から視聴料をいただくコンテンツまで誕生しています。
価値が欲しければ金を出せという至極まっとうな考えです。
賞金が番組の価値の本質では無いことが見えてきます。
賞金は、番組の価値作りには無駄金です。
視聴者も番組を吟味して、勇気を持ってチャンネルを選択しないと貴重な人生の時間を浪費してしまいかねないことに気づいています。
有料映像コンテンツが伸びています。
他の業界で無駄だと思われることは、飲食店においても無駄です。
まずは、無駄金の支出を中止。
価値がないのにテーブルに連れてきても一度きりです。
販促はお客様へのラブレター
これまで、私は、広告販促はお客様へのラブレターだと企んできました。
ですから、一方的な「私はこんなに素敵なんで、一度デートしましょう」という、相手の状況や心の変化を推測しないラブレターを書いたことがありません。
(書かされたのはラブレターの代筆ということで・・)
相手を見て愛の告白の方法を思案します。
恋愛なら、どうやってデートに誘うかとアイディアを練ります。
もちろん、失敗からも学びます。
デートに誘う前にあきらめてしまう恋もあるでしょう。
たとえば、相手がプロ・テニスプレーヤー、錦織圭選手だったら。
例えばなので、今、錦織選手に恋人がいるかどうかはおいておきます。
あれだけ、過酷な練習を積み、ストイックに自分を追い込む錦織さんの前に「好きです」と現れても練習の邪魔になるだけです。
試合に負ければ錦織さんを応援しているたくさんのファンを失望させます。
もしも、別な業界で錦織さんと同等の成功を治めていたなら出会うチャンスも巡ってくるかもしれない。
あるいは、錦織さんを陰に日向に献身的に支えるポジションを獲得できるなら、ファンにも祝福される。
いずれにしても、錦織さんの伴侶は、彼と同じくらいストイックな人生になるでしょう。
クーポンにも愛情を込める
極端な例のようでですがたった一つのクーポンの果たす役割も同じです。
「生ビール1杯プレゼント」よりも「とびきり美味しい地ビールを見つけて」、それを愛するお客さんに一度飲ませたいというクーポン。
毎回、クーポンに情熱がこもっていれば、お客様はやがて気づきます。
「私のこと、好きなんだわ」と。
普通に人の心の変化なのに、こと、クーポン企画となると頭脳明晰風なマーケッターになってしまいます。
回収率がとかターゲットはとか。
お店の価値を愛してもらいたいのは誰か?
誰があなたのお店を愛しているか?
クーポンのドリンク1杯サービスが集客や売上にどのように貢献しているのかに目が向きがちです。
クーポンやチラシが飲食店の価値をどのように損なっているのか。
販売促進のマイナス面を全く考えていない場合がほとんどです。
誤った販売促進は、店舗価値を傷つけています。
愛情がこもれば、クーポンさえラブレターになります。
「私とデートできるクーポンあげようか?」
なんて、言われてみたいです。
販売促進のマイナス面を全く考えていない場合があります。
誤った販売促進は、店舗価値を傷つけています。
出発点は、お店の価値を知る。
己を知ることです。
そして、お店の価値に磨きをかけることです。
店舗が商品価値を損なう販促
- 安売り
- 情熱のない商品をイチオシ
- 関連性のないプレミアム
- 店のトーン、カラーと異なる表現
- お客さまより遅れた感度の情報
昔、ある家具屋さんが郊外に新店舗を出店しました。
オープンキャンペーンとして、先着100名様の来店者に無料で「砂糖」をプレゼントしました。
駆け出しのアドマンの私は、店のハッピを着込んで販売促進のお手伝い。
せっせと砂糖を手渡していました。
近所のおじさん、おばさんがサンダルを履いて、砂糖の前に殺到します。
おじさん、おばさんは、店内の家具には見向きもせずに180度回れ右して直帰してしまいます。
?????
そりゃそうです、早朝の開店前から、一袋の砂糖欲しさに並んでた人たちです。
言い方は失礼かもしれませんが家具を新調する余裕なんてありません。
この経験は、私のパブリックリレーションズの原点です。
無料の砂糖配布で人は集まりガヤという意味では賑わいができるかもしれません。
広告代理店としては、一定の評価を与えられるでしょう。
でも、そのことに何の意味が?
もちろん、意味を持たせる展開も可能です。
たとえ、無料の砂糖が目的のお客さんでも。
お客様の特性別に営業担当者が三越の外相並みにアプローチするのです。
「今日は買わないで結構なので、見るだけのウインドウショッピングだと思って楽しんでいってください」
その家具屋の担当外商の仕事は、お客様の創造をふくらませて楽しんでいただく事です。
息子さんが娘さんが結婚したら
お孫さんができたら
春が来たら、夏が来たら
新調した家具がお客様の生活をどんなに新しくしてくれるか。
お客さんと一緒に新しい家具のある暮らしのストーリーを共有します。
それには、自分たちの価値、扱っている家具の価値を熟知。
お客様と商品の価値を共有していく交流が大事になります。
家具に無関心なお客さまでも一度訪れたことで店の場所を知ることができました。
けれど、買えない人は、世間になんと言うでしょう。
買えない、買わないことは「商品が高い」という誤解も与えかねません。
私たちを相手にもしてくれなかったという誤った認識を植え付けるかもしれません。
これまでの一方的に情報を発信して、集客。
リレーション作りはクライアント、店任せの広告システムでは、共有価値を作れません。
飲食店のメディア化戦略
- 店舗の価値を明確にする。
- 明確な店舗価値が無い場合は作る。
- 店舗価値を磨き育てていくことと販促を一体化させる。
- 店が持つ集合価値をお客様と共有する。
店舗価値が無い場合は作るしかありません。
自分たちが認識できない価値をお店の存在すら知らない人々に伝えることができません。
価値が決まったら次はコミュニケーションの方法を考えます。
コミュニケーションとは、今までの発想で言い換えれば、広告宣伝方法です。
これまでの広告宣伝は、ホットペッパーやぐるなびを主体としたウェブコンテンツ。
紙媒体や電波媒体をミックスする一方通行の広く告げる情報発信でした。
ホットペッパーとぐるなびあえて、クーポン媒体と呼ばせていただきました。
雑誌やテレビのパブリシティ(ニュース取材)で効果を考えてみます。
地元の財界誌に掲載されれば、店の社会的なステイタスが上がります。
テレビ番組なら一定の視聴者層の口コミにのって、例えば主婦層の間に市民権を得ます。
新聞掲載なら、新聞からテレビ、ラジオという波及が起こり、行列ができる店も間近でしょう。
ホットペッパーやぐるなびは、主にクーポンを探す目的で開かれます。
現状では、飲食店の価値を高めることには貢献していません。
ホットペッパーやぐるなびは、レジ機能、売上分析、シフト管理を提供し、クーポンメディアから、飲食マネージメントのプラットホームになろうとしています。
低コストで飲食マネージメントのインフラを利用できることは感謝しかありません。
しかし、店の価値を作るのは、店自身だということを忘れてはいけません。
クーポンのドリンク1杯サービスが集客や売上にどのように貢献しているのかに目が向きがちです。
クーポンやチラシが飲食店の価値をどのように損なっているのか。
販売促進のマイナス面を全く考えていない場合がほとんどです。
誤った販売促進は、店舗価値を傷つけています。
- 店舗の価値を明確にする。
- 明確な店舗価値が無い場合は作る。
- 店舗価値を磨き育てていくことと販促を一体化させる。
店舗価値が無い場合は作るしかありません。
自分たちが認識できない価値をお店の存在すら知らない人々に伝えることができません。
クーポンを無くすという課題ではない
じゃあ、クーポンを全部無くしましょうとか、全員にクーポンの特典を与えましょうという話ではありません。
他店との競争、お客様との駆け引きも人選の面白さです。
競争があるから、能力を磨き、人も育ちます。
A氏の接客伝説
こんな伝説があります。
私たちが尊敬するA氏の逸話です。
彼は、当時、ある人気ワインバーで店長をしていました。
台風が近づいているという大雨のある夜。
そこへ彼女と二人連れの酔った常連客がやって来ました。
顔馴染みの常連客は、酔った勢いと連れの女性にいいところも見せたかったのでしょう。
「こんな雨の中、来てやったんだ、なんか1杯ご馳走しろ」と絡んできたそうです。
A氏は持ち前の朗らかさで感謝を伝えながら、やんわりかわしていたそうです。
それが、あんまりにもしつこくA氏に絡む。
オレは店長の知り合いだぞとばかりに大きな声で話すものだからお店の雰囲気もなんだか嫌なムードに。
台風も近づいてるしなー・・
それを見ていた私の友人。
困った客に絡まれているわ。
酔っ払い、帰せばいいのに。
A店長、可愛そう。
なんなら、私がビシッと言ってやろうかしらと堪忍袋の緒が切れそうなところで。
店内にリンリンとワイングラスをスプーンで軽くたたく音。
海外の結婚式のシーンで、歓談で盛り上がっている最中に友人が突然立ち上がって、祝福を述べる時に鳴らすアレです。
かっこいー♡(友人の瞳)
静まり返った店内にワイングラスを掲げたA店長がにこやかに立っています。
S氏「レディース、アンド、ジェントルメン!(満面の笑顔)」
何やらスピーチだぞ?!
S氏「皆さん、今日は、雨の中ようそこそいらっしいました」
友人の心の声(いよいよ、酔っ払いを帰すのか?)
S氏「今日は、私から感謝を込め、皆さんにシャンパーニュをご馳走します!」
店内が割れんばかりの歓声と拍手で盛り上がったのは言うまでもありません。
クーポンは目的じゃない
クーポンは手段であって目的ではありません。
販促費を何のために誰にどのように使うか。
多くの飲食店がクーポン媒体やルーティンの販促手法に溺れています。
新たなインターネットコンテンツも旧来の販促思考では、価値作りには結びつきません。
一度、全ての媒体、販促ツールを中止。
人の感情を揺さぶるほどの販促になるのか。
ゼロベースから、宣伝広告費の有効活用を練り直すことをおすすめします。